おはようございます
世界中の株式へ分散投資をするにあたって1つの最適解となるのが、バンガード社の
超低コストETFであるVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック)です。
しかしVTを購入するには円を米ドルに換え、VTを購入し、配当金は手動で
再投資して、配当金に課税される米国税を一部免除する為に自分で確定申告して
外国税云々を・・・の手間があることから、私の様な投資初心者は手を出しくいのが
実情。。。
そんな中2017年9月に、楽天投信顧問がVTを買付けするだけのインデックスファンド、
楽天・全世界株式インデックス(楽天VT)を新設し、インデックスファンド業界を
大変賑わしました。
しかしその楽天VTが運用開始1年&第1回運用報告書の公開を目前に控え、
楽天VTよりも信託報酬が高いeMAXIS全世界株よりリターンが低い失態をさらけ出し、
ついに楽天VTのメッキが剥がれてきました。
1.楽天・全世界株式インデックス(楽天VT)とは?
楽天VTは、野村つみたて外国株投信やeMAXIS Slim全世界株(除く日本)の様な
現物株式運用ではなく、バンガードのETF VTを買い付けるだけのファンドです。
上記イラストから分かるとおり、日本の投資家は楽天VTを購入することで間接的に
憧れのVTを保有できることから爆発的な人気(支持)を得てまして、この記事作成
時点で楽天VTの純資産総額は117億円になります。
VTが運用対象指数とするFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは
大・中・小型株まで網羅する全世界の株式市場の動向を表す時価総額加重平均型の
株価指数で、その銘柄数はおよそ8,000銘柄にも及びます。
つまり楽天VT1本で、この大多数の銘柄数に投資できることが人気の理由です。
しかし日本の投資信託ではこのFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
よりもMSCI ACWI(除く日本)を対象指数とするのが一般的で、投資先は主に
大・中型株式の約2200社に投資していますが、いまいち人気がありません。
MSCI ACWI(除く日本)に人気が出ない理由として、日本株式指数が入ってないのと
小型株式が入っていないからだと思いますが、バンガードの創設者ジョン.C.ボーグルが
著書「インデックス投資は勝者のゲーム」の「第3章企業に賭けろ 株式市場全体の
インデックス」にて、S&P500とトータルストックマーケットインデックス(VTIが
対象としている指数)の10年間リターンには0.2%しか差がなく、どちらを選んでも
差はでないと結論付けています。
米国株式市場の銘柄保有数
VTIの銘柄数:約3600
S&P500の銘柄数: 500
ボーグルの言葉が正しいとすると、楽天VTで無理に小型株式まで網羅せずともMSCI
ACWI(除く日本)を対象とした低コストのインデックスファンドでOKになります。
では日本株式の有無でどうなるのかを、楽天VTと同時期に運用開始した野村つみたて
外国株投信の月次レポートに記載されている指数の騰落率を比較してみましょう
約1年弱の指数同士による騰落率ですが、日本株式の有無&小型株式の有無による
差はほぼ無しであり、ボーグルの言うとおり小型株まで含めた銘柄数に影響は
ありません。
と言うか日本株式が無くても影響でないのですから、VTに拘る理由すら無くなって
しまいそうです。
つまり全世界株式バランスファンドは、MSCI ACWI(除く日本)を対象とした投資信託で
問題ないことが分かりました。
2.楽天VTの超不安定運用
さきほどは指数同士の騰落率で比較しましたが、楽天VTはインデックスファンド
ですので、指数に対する追従性が要求されます。
では楽天VTの運用状況を、月次レポートを基に指数に対する乖離度合いをプロット&
設定来騰落率を確認してみましょう
左のグラフより楽天VTは設定来、対象指数に対して1.8%もリターンを取りこぼして
います。
右のグラフより楽天VT(赤線)は、運用開始直後は指数に対して下方乖離が目だって
ましたが、2018年2月の相場下落・7月以降のトランプショックの際も大きく下方
乖離しております。※青線は野村つみたて外国株投信の指数に対する乖離度合いです
右グラフの楽天VTの指数に対する乖離より、運用開始直後にマイナスがあったのは
仕方がないものの、純資産総額が100億円近くなった6月・7月も、マイナス乖離が
目立つことから、ETFを買うだけの運用は安定しないのでしょうか?
そもそも楽天VTは三重課税を負いますので、構造的に現物株式運用に対して不利に
なります。
ここでVTを購入した場合の税負担を整理すると
①:投資先現地国で課税
②:米国株として、米国への課税
③:日本で投資利益による課税
VT(米国株として、米国への課税)の投資利益は、確定申告をすることで②の税金を
一部取り返せるのですが、楽天VTを利用すると②は全く取り返すことができない為、
普通にVTを買うより税制度的に不利になります。
さらに、楽天VTの場合はバンガードのVTを買ったことによる配当金(①+②の税
控引き後)を受け取るので、そこにさらに③の日本国内税を受けている可能性が
あります。
その根拠としてETFが配当金を出すのは4半期毎の為、2月の下方乖離後の約4ヵ月後に
あたる6・7月に下方乖離をしています。
となると、3月の上方乖離は配当金を受け取った直後なのでしょうか?
VTと楽天VTの直接比較をしていないので詳細は不明ですが、楽天VTの指数に対する
乖離グラフが乱高下している傍ら、野村つみたて外国株投信の乖離(青線)は、
非常に安定している事が分かります。
3.楽天VTのリターンが低すぎる
楽天VTが対象とするFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの騰落率は
MSCI ACWI(除く日本)と差がないのと、楽天VTは指数に対して1.8%も下方乖離
している問題が分かりました。
で、さらに問題なのが、楽天VTのリターンは信託報酬が約3倍高いeMAXIS全世界株
(信託報酬0.648%)よりも低いことです!
念のため言っておきますが、eMAXIS全世界株はslimシリーズではなく、ノーマルの
eMAXISシリーズの方です。
設定来騰落率だけだと運用開始直後の影響が大きく出るので、2018年1月~と4月~でも
比較しましたが、どっちをとっても楽天VTのリターンが悪い。
この原因は楽天VTのコストが高いのか?ってのを検証する為に、楽天VT騰落率から
eMAXIS全世界株の騰落率を引いてみました。
オレンジの0%ラインより下に行くと楽天VTのリターンが悪い事になります
楽天VTの高コストが原因ならズルズル右肩下がりのグラフになるのですが、設定来
推移を見る限り、相場にボラリティが出た時 or 配当金?が出た際に下方乖離しやすい
ようです。
※2018年2月の下落7月以降の米中貿易戦争
しかし、信託報酬がはるかに安い楽天VTを使っても、ノーマルeMAXIS全世界株に
リターンが負けてるようでは、楽天VTに投資している意味がありません。
ちなみに野村つみたて外国株投信と楽天VTのインベスターリターン&ファンドトータル
リターンの7月31日時点の表を見ても、楽天VTが異常に成績が悪いことが分かります
※2018年7月31日時点 モーニングスター情報
※IR:インベスターリターン TR:トータルリターン
ここまで整理した所感ですが、ニッセイ外国株式インデックスファンドがトラッキング
エラーをするとバッシングされるのに、楽天VTをバッシングする人は見かけま
せんね・・・
さて楽天VTのメッキがかなり剥がれてきましたが来年以降、改善するのでしょうか?
楽天VTの下方乖離がVTを買い付けるだけの構造的なものだとしたら、今後の改善も
見込めなくなります。
単に知名度だけでなく、中身まで見て投資先を判断することが大事だということが
分かった1年でした。
<今回のまとめ>
(①)
楽天VTは純資産総額が100億円超えても運用が安定せず、今後の改善が見込めるか
不明&海外ETFを買い付けるファンド特有の事象かもしれないので、当ブログでは
楽天VTを全世界株式バランスファンドの投資先として勧めれません。
(②)
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとMSCI ACWI(除く日本)の
騰落率に差がないのだから、全世界株式バランスファンドとしてお勧め出来るのは、
純資産総額も順調に増えている超安定運用の、野村つみたて外国株投信になります。
※野村つみたて外国株投信&eMAXIS Slim全世界株(除く日本)の純資産総額推移
(③)
ちなみに「野村」って響きが嫌で配当抜き指数でもOKなら、eMAXIS Slim全世界株
(除く日本)もお勧めになります。
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
(④)
この1年間、楽天VTの運用成績書が発行されるのを待ってた人が正解だったわけで、
その間も全世界株式バランスファンドクラスでは現物株式運用のファンド(ex:野村
つみたて外国株投信)に投資をしておけばOKだったことが分かりました。
まもなく楽天VTの運用報告書が発行されるので、何て言い訳するのかしっかり
確認しましょう。
---------------------------------------2018年10月31日----------------------------------------------
改善の兆しはなしです・・・
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
--------------------------2019年5月10日-------------------------------------
高コスト体質は改善傾向となりましたが、指数に対してパッシブ運用が出来ない事に
関しては改善されておりません。
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
-----------------------------2019年6月2日--------------------------------------
楽天VTの運用精度悪いことに関して、楽天投信投資顧問から回答をいただきました
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
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