おはようございます。
先日UPした2018年5月度の全世界株式運用成績比較の記事にて、eMAXIS Slim
全世界株(除く日本)の運用の対象指数が配当抜きだったことに気付きました。
私はインデックスファンドを名乗る限り、対象指数は配当込みである必要が
あると思っております。
今回の記事は、同じ対象指数であっても、配当「込み」「抜き」の違いに関して
説明したいと思います。
※参考
この記事の改訂版がこちらになります
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
1.配当「込み」と「抜き」の違い
投資信託が対象とする指数は、運用成績の比較を行うベンチマークとしても
利用されます。
・アクティブファンドの場合は、ベンチマークに対して勝っているか
・インデックスファンドの場合は、ベンチマークに対してピッタリ追従できているか
対象となる指数(インデックス)は、組み入れ銘柄の株価や配当金を合算して
リターンを算出しており、同じ指数でも配当込み・抜きの2種類あります。
当然ながら配当込み指数の方が、リターンは高くなります。
2.投資信託は運用コストの分だけ下方乖離する
投資信託のリターンは、下記の①から②+③+④を引いた値で決まります。
①運用益(±):予測不能
②信託報酬:決まってる
③追加発生コスト:予測不能
分配金を出さないインデックスファンドの場合、ファンドが保有している銘柄から出た
配当金は、そのまま再投資で運用しています。
インデックスファンドは指数に追従する運用を求められますので、ファンドの
対象指数が配当込みの場合は、上記計算式より運用益からコストを引くと
必ず下方乖離が発生します。
しかしながら、インデックスファンドは指数に対して超過リターンを求めては
いけないので、指数に対するコスト分の下方乖離は仕方のないことです。
そして1番理想的なインデックスファンドのリターンは、指数に対して信託報酬分の
下方乖離のみになります。
3.配当抜き指数の場合、見た目を良くできる
インデックスファンドが配当抜き指数を対象にしたとしても、ファンドの保有銘柄から
ファンドへ配当金が入ってきますので、普通に運用すると配当抜き指数に対して、
上方乖離が発生します。
インデックスファンドの運用は対象指数へ追従することが要求されるので、
上方乖離のプラス部分は邪魔になりますから、分配金を出すことで調整します。
ETFがやってること(配当)が、まさにこれ。
しかしこの分配金を、特定口座で運用中に出されると20.315%課税されて
しまいますし、NISAの買付け枠を使い切っていると、非課税口座で再投資が
できません。
投資家側が運用効率の高い「分配金再投資」をするつもりでいても、ファンドの
対象指数が配当抜きの場合、分配金を 出す・出さないは運用側の判断によって
決まります。
それに対してファンドの対象指数が配当込み指数の場合、分配金を出すとさらに
下方乖離が発生するので、構造的に分配金を出すことはできません。
ではここから、配当抜き指数のインデックスファンドをさらに突っ込むと、
仮に運用ミスで多額の追加コストが発生したとしても、配当金の範囲内に収めれば、
対外的には指数に追従した運用が出来ていると言えます。
運用ミスを責めたくても、契約書となる交付目論見書には、それでも良いってことが
書いてる訳です。
4.配当抜き指数の場合、成績の良し悪しが判断できない
インデックス投資とは信託報酬分のコストを抜いた、指数の期待リターンを
得ることです。
インデックスファンドの対象指数が配当抜きの場合、そのファンドの運用レポートを
見ても、自分が指数に対して正しいリターンを得ていたのかが分かりません。
それを知るためには、信託報酬と追加コストが全く同じである配当込み指数の
別ファンドと比較しないといけないのです・・・当然ながら、そんな比較が
可能なファンドは存在しませんし、相対比較するのは非常に手間がかかります。
ましてや、運用ミスが原因で数%リターンを損しても、配当抜きの対象指数より
上回ってれば「問題ないんだし、ごめんね!テヘ、ペロ!」がまかり通ってしまう。
そしてeMAXIS Slim全世界株(除く日本)の対象指数はMSCI ACWI(除く日本・
配当抜き)ですので、私からするとこのファンドは、投資家に対して誠実ではない
という訳です。
実際に三菱UFJ投信に電話して確認したら、下記回答がありました
配当込み指数にすると信託報酬分下方乖離するじゃないですか?
インデックスファンドは指数へ追従する運用が求められますので
どうやら配当抜き指数にしたのは、確信犯に近いです・・・
そして気付いたらslimシリーズの株式クラス全て、配当抜き指数と言うね・・・
<結論>
「細かいこと言うな~!こいつ!!」って思われてるかもしれませんが、インデックス
投資は手数料含めコンマ数%の世界で戦ってるのですから、割と真面目に大切なこと
を伝えたかったのです。
投資信託はただでさえブラックボックスが多いので、せめて全てのインデックス
ファンドは、配当込み指数で商品設計してほしいという願いですあり、
そこれそがフィデューシャリーデューティーだと思います。
そして野村つみたて外国株投信の対象指数はMSCI ACWI(除く日本・配当込み)
という、野村證券の過去の罪滅ぼしと言わんばかりの誠実さです。
eMAXIS Slim全世界株(除く日本)の純資産総額が野村つみたて外国株投信を
超えたら乗り換えるつもりでいましたが、もうちょっとしっかり検証してから
再度判断しようと思います。
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