こんばんわ、きしやんです☆
本日のNIKKEI STYLEマネー研究所にて、インデックスファンドは株価に追従する
だけではなく、配当込みによって実は高いパフォーマンスを示していると紹介されて
いました。
そもそも株式投資のリターンの源泉は、企業収益向上による株価の上昇と、企業から
株主へ支払われる配当金があります
株式投資のリターン=企業利益+配当
この図式は、株価指数へパッシブ運用を行うインデックスファンドにも当てはまる
ものの、いまいち理解できていない人もいると思われます。今回は過去に作成した
記事を新規改訂して、インデックスファンドの対象指数の配当込み・配当抜きの理解を
深めたいと思います。
1.配当「込み」と「抜き」の違い
投資信託が対象とする指数は、運用成績の比較を行うベンチマークとしても
利用されます。
・アクティブファンドの場合は、ベンチマークに対して勝っているか
・インデックスファンドの場合は、ベンチマークに対してピッタリ追従できているか
対象となる指数(インデックス)は、組み入れ銘柄の株価や配当金を合算して
リターンを算出しており、同じ指数でも配当込み・抜きの2種類あります。
当然ながら配当込み指数の方が、リターンは高くなります。
具体的な銘柄を出しますと、先進国株式インデックスファンドの場合対象指数が
配当込み指数:ニッセイ外国株式インデックスファンド
配当抜き指数:eMAXIS Slim先進国株式インデックス
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの交付目論見書を見るだけでは、指数に対して
配当込み or 抜きの違いが分からないのですが、月次レポート確認するとeMAXIS Slim
先進国株式インデックスは、ベンチマーク(指数)が配当相当分を含まないイン
デックスですと明記されています
2.投資信託は運用コストの分だけ下方乖離する
投資信託のリターンは、下記の①から②+③+④を引いた値で決まります。
①運用益(±):予測不能
②信託報酬:決まってる
③追加発生コスト:予測不能
分配金を出さないインデックスファンドの場合、ファンドが保有している銘柄から出た
配当金は、そのまま再投資で運用しています。
インデックスファンドは指数に追従する運用を求められますので、ファンドの
対象指数が配当込みの場合は、上記計算式より運用益からコストを引くと
必ず下方乖離が発生します。
しかしながら、インデックスファンドは指数に対して超過リターンを求めては
いけないので、指数に対するコスト分の下方乖離は仕方のないことです。
そして1番理想的なインデックスファンドのリターンは、指数に対して信託報酬分の
下方乖離のみになります。
3.配当抜き指数の場合、ファンドの運用成績は見た目が良くなる
インデックスファンドが配当抜き指数を対象にしたとしても、ファンドの保有銘柄から
ファンドへ配当金が入ってきますので、普通に運用すると配当抜き指数に対して、
上方乖離が発生します。
インデックスファンドの運用は対象指数へ追従することが要求されるので、
上方乖離のプラス部分は邪魔になりますから、分配金を出すことで調整します。
ちなみに、ETFからでる配当金が、まさにこれに該当します。
しかしこの分配金を、特定口座で運用中に出されると20.315%課税されて
しまいますし、NISAの買付け枠を使い切っていると、非課税口座で再投資が
できません。
投資家側が運用効率の高い「分配金再投資」をするつもりでいても、ファンドの
対象指数が配当抜きの場合、分配金を 出す・出さないは運用側の判断によって
決まります。
それに対してファンドの対象指数が配当込み指数の場合、分配金を出すと指数に対して
さらに下方乖離が発生するので、構造的に分配金を出すことはできません。
ではここから配当抜き指数のインデックスファンドをさらに突っ込むと、仮に
運用ミスで多額の追加コストが発生したとしても、配当金の範囲内に収めれば、
対外的には指数に追従した運用が出来ていると言えます。
運用ミスを責めたくても、契約書となる交付目論見書には、それでも良いってことが
書いてる訳です。
4.配当抜き指数の場合、成績の良し悪しが判断できない
インデックス投資とは信託報酬分のコストを抜いた、指数の期待リターンを
得ることです。
インデックスファンドの対象指数が配当抜きの場合、そのファンドの運用レポートを
見ても、自分が指数に対して正しいリターンを得ていたのかが分かりません。
それを知るためには、信託報酬と追加コストが全く同じである配当込み指数の
別ファンドと比較しないといけないのです・・・当然ながら、そんな比較が
可能なファンドは存在しませんし、相対比較するのは非常に手間がかかります。
ましてや、運用ミスが原因で数%リターンを損しても、配当抜きの対象指数より
上回ってれば「問題ないんだし、ごめんね!テヘ、ペロ!」がまかり通って
しまいます。
では実際に、ニッセイ外国株式インデックスファンドと、eMAXIS Slim先進国株式
インデックスの運用報告書を見てみましょう
※決算時期が異なるので、騰落率の絶対値で比較してはいけません
左のニッセイ外国株式インデックスファンドはベンチマーク(指数)に対して
-0.1%の下方乖離しかしておらず、非常に高い運用制度だったことが一目瞭然です。
しかし右側のeMAXIS Slim先進国株式インデックスの運用報告書を見ると、ベンチ
マークに対して+2.7%の上方乖離の理由は何処をみても読み解けません。
5.投資家としては、どう判断すればいいのか!?
結論から申しますと、NIKKEI STYLEマネー研究所に記載されてる通りで、実際は
配当込みで運用はされているそうなので、問題が無いのが実態です。
しかし私としては信託報酬が同じなら、運用報告書を見たら意味が理解できる
配当込み指数をベンチマークとしたインデックスファンドを選びます。
それが、運用会社側からの誠意だと思うからです。
ちなみにeMAXIS Slim全世界株(除く日本・配当抜き)が新設された際に、
野村つみたて外国株投信(MSCI ACWI・除く日本・配当込み)との比較で三菱UFJ
国際投信へ電話して確認したら、下記回答がありました
配当込み指数にすると信託報酬分下方乖離するじゃないですか!
インデックスファンドは指数へ追従する運用が求められますので
どうやら配当抜き指数にしてるのは、確信犯に近いんですね・・・
結論
細かいこと言ってますが、投資信託はただでさえブラックボックスが多いので、
せめて全てのインデックスファンドは配当込み指数で商品設計してほしいという
願いであって、そこれそがフィデューシャリーデューティーだと思っております。
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