こんばんわ。
日本を代表する投資信託と言っても過言ではないレオス・キャピタルワークスが
運用する ひふみ投信のリターンが芳しくありません。
2018年10月のひふみ投信の損失は過去最大となり、TOPIXが-9.4%に対して
ひふみ投信の基準価額は-12.2%と、市場平均を大きくアンダーパフォームしました。
それに対してレオスキャピタル・ワークスのTwitter公式アカウントには、ひふみ投信の
投資家と思われる人たちから、非情なコメントが多数寄せられています。
しかも最近のひふみ投信のリターンは市場平均に対してほとんどアウトパフォーム
できていないのも、非難されている理由の1つでしょう。
しかしひふみ投信のリターンが市場平均に勝ちづらくなるのは前々から分かっていた
ことなので、今回はその理由を説明したいと思います。
話を進める前に、レオスキャピタル・ワークスのTwitter公式アカウントに苦情の
コメントをしている人たちは非情にモラル欠けており、彼等を擁護する気は
ありません。
レオスキャピタル・ワークスはアクティブファンドの運用会社なので、ひふみ投信の
成績が気に入らないのなら、レオスキャピタル・ワークスが全国行脚で行っている
セミナー or 運用報告会に出席し、藤野さん達に直接文句を言うのが投資家としての
筋でしょう。
1.ひふみ投信のこれまでと、最近の運用成績
ひふみ投信とはレオス・キャピタルワークスが運用・販売する投資信託で、
主に日本国内の中・小型株を中心に成長が見込める割安な銘柄に対して投資をして
高いリターンを目指す運用スタイル(アクティブファンド)になります。
ひふみ投信の運用成績は第二次安部政権発足以降のアベノミクスによる効果もあって
設定来、400%を超えるスーパーリターンを叩き出しております。※①チャート参照
上記データの②を見ると分かるとおり、ひふみ投信の運用成績は市場平均をはるかに
上回ってきました。
しかし③に注目すると、ここ1年間では日経平均に対してリターンで劣っている
状況です。Twitterでの批判コメントが殺到したのが2018年7月末ぐらいからと記憶
しておりますので、6ヶ月間のチャートが下記になります
ひふみ投信のリターンが日経225やTOPIXに対して負けだしたタイミングと
一致しております。
そしてひふみ投信は2018年9月以降も市場平均をアウトパフォームできず、少しずつ
基準価額が低下してきていることも分かります。
2.巨大化していく、ひふみ投信
冒頭で申したように、Twitter等で多くの人が不満を訴える理由の1つは、ここ最近
アクティブファンドであるひふみ投信のリターンがTOPIX等の市場平均と同等になっ
てるからです。
ひふみ投信は2017年2月にカンブリア宮殿での出演以降、資金流入量が爆発的に
増えたのが下記グラフより読み取れます。
※投信情報まとなびに2018年10月の月次資金流入情報がないので、未反映
御覧の通り、2017年2月以降、ひふみ投信+ひふみプラスへの資金流入量が爆増
していますね。
さてここで、ひふみ投信がカンブリア宮殿に出演する前後で、運用していた銘柄数の
推移を見てみましょう
ひふみ投信の組入れ銘柄数は2016年まで純資産総額の増加に比例して100銘柄程
でしたが、カンブリア宮殿が放映された2017年以降は、純資産総額の増加と
組入れ銘柄数も一気に増えました。
しかし、ひふみ投信の純資産総額の増え方が二次曲線的なのに対して、保有銘柄数の
増加は抑え気味になってます。
その答えは、2013年から2018年9月における、保有銘柄毎の上場市場の割合から
見えてきそうです。
※ひふみ投信各年毎の9月度月次レポート参照
ひふみ投信は2015年までは投資家から預かった資産はフルインベストメント状態
でしたが、2016年以降現金での保有割合が増えてきており、2017年にプールしている
現金は最多となりました。
そして2017年から米国株式への投資が始まり、2018年9月時点で ひふみ投信が保有する
資産全体の10%が米国株式となっており、逆に東証二部・マザーズ・JASDAQの
中・小型銘柄が上場している銘柄の保有割合がとても小さくなっています。
ひふみ投信はカンブリア宮殿に出演するまでは国内の魅力的な中・小型株を中心に
運用を行ってきましたが、市場平均を上回らないといけないアクティブファンドである
ひふみ投信は、顧客(投資家)から預かった資金をプールしておく訳にはいきません。
そこでレオスキャピタルワークスの藤野さんは、運用対象を国内の大型株やIPO、
アメリカ株式へ広げていきました
藤野さんが松井証券で語られているように、運用に困ったお金は米国株式や東証一部の
大型株式へ流れいったのが、その後のポートフォリオを見て確認できます。
※ひふみ投信の月次レポートは、各年の9月のものを参照
※MSCI JAPNE指数の銘柄は、セゾン投信とiシェアーズMSCIジャパンETFの運用報告書&月次レポートより
カンブリア宮殿に出演した2017年の9月時点で ひふみ投信が保有する銘柄の組入比率
TOP10の中に、MSCI JAPAN指数の組入比率1・2位のトヨタ自動車と三菱JFJグループ
が入っており、3位には米国のマイクロソフトが組入れられています。
日本市場に魅力的な大型株がなかったのか、2017年9月時点のポートフォリオで
8%近くになっていた現金はさらに米国株式へ投入され、2018年9月時点では
「1位:アマゾン 2位:VISA 6位:マイクロソフト」と、ポートフォリオの10%が
米国株式となりました。 それとは逆に、MSCI JAPAN指数の組入比率TOP10の銘柄は
いなくなりました。
3.ひふみ投信の悲劇と現実
2018年10月は米国10債券の金利上昇や 、ハイテク銘柄の決算が市場の期待を
下回ったりと値動きが激しく、特にひふみ投信が保有しているポートフォリオで
組入比率1位のアマゾンの株価下落が大きかったので、ひふみ投信の基準価額にも
多大な影響を与えました
アメリカ株式の下落は世界中へ影響し、「守りながら増やす」をコンセプトにしている
なぜか?
それに関しては、ひふみ投信の月次ポートを見ることでTOPIXに対する位置づけが
分かります
①のアクティブシェアから現時点のひふみ投信のポートフォリオは、TOPIXとは
異なっていると言っているものの、②の250営業ベータ推移からは、TOPIXに対する
変動率がほぼ1.0となっているので、ひふみ投信の値動きはTOPIXに追従する状態
≒ インデックスファンド(市場平均)化してしまっています。
4.まとめると
①得意の中・小型株式で市場平均をアウトパフォームする
③中・小型株を買い続けると自分で株価を大きく上昇させてしまうので、流動性の
良い大型株にシフトする
④保有銘柄が大きく&多くなり、自分のポートフォリオが市場平均と化す
ひふみ投信の現状はテレビ出演で人気者になったが故に、機動的に動けなくなったと
言えそうです。
さて、私の様な素人投資家がひふみ投信の現状を予想・整理などしなくても、
インデックス投資のバイブル本「敗者のゲーム」の著者、チャールズ・エリスの
著書「インデックス投資入門」に、ひふみ投信の末路が書かれていたのを御存知
でしょうか?
【インデックス投資入門】
『第1章アクティブからインデックスへ 5節「資産運用の新時代」についての論文』
引用
(アクティブファンドの)パフォーマンスが良ければ、資金がどんどん
そうすると、売買その他のコストも上昇するが、リターンを上げる余地は
どんどん狭まる。
成功が、次の成功にとっては障害となってくるという事実だ。
書籍内のたった三行ではありますが、ひふみ投信の現状を簡潔に表現されています。
しかしレオスキャピタルワークスの社長 藤野さんはどこかのインタビュー記事で、
「運用資産が大きくなりすぎると身動きがとれなくなってパフォーマンスが低下する
のでは?と心配の声をいただくが、独自のノウハウがあるから心配いらない」と
言われていました。
<まとめ>
今のひふみ投信のポートフォリオが市場平均と同等になっているのは事実の為、
昔のように市場平均を大きくアウトパフォームする可能性はあまりないのかも
しれません。
しかしチャールズ・エリスの言葉だけを信じる必要もありません。
レオスキャピタルワークスの藤野さんの言葉・哲学を信じるのなら、ひふみ投信の
基準価額が10%ぐらい低下しようが文句など言わず、バイ&ホールドするか、
アクティブ投資なのだからタイミングを見て売却するしかないでしょう。
なぜ ひふみ投信を選んだのか?なぜ選ぶのかを再度、考えてはいかがでしょうか?
1年ほど前に書いた記事です。良ければ御覧下さい。
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
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