親が子に教えよう!お金と資産形成の世界☆

熊本県菊池郡某所に住む、金融業会とは無縁な職種の会社員です。 人生100年時代といわれる世の中を生きていくため、学校はおろか親からも教わったことのない『お金と資産形成』という世界を我が子に教える為、自ら学び・実践しております。 このブログは、その軌跡とアウトプットの集合体です

生産性の向上と賃金の話。アトキンソンと三橋貴明の話。

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2021年年度の地域別の最低賃金改定に関する話が、報じられていますね。

報道の内容を見る限り、否定的な見出しが目立ちます。特に昨今のコロナ禍における企業収益が減っている状況で、賃上げなんてありえないだろ!ってとこです。

 

news.yahoo.co.jp

 

この議論の背景には、元ゴールドマンサックスの伝説的アナリストで、現在小西美術館の社長をされているデービットアトキンソンさんの存在があります。

 この20年間、先進国の中で日本だけが唯一、可処分所得が増えませんでした。

他の先進国がGDP成長に伴って豊かになっていく中、相対的に日本は貧乏になっています。国民一人当たりの生産性に至っては、新興国の上位に入ってしまうレベルですね。

アトキンソン氏はこの原因の一環として日本企業の生産性の低さを指摘。特に日本産業で9割近くを占める中小零細企業の生産性の低さに伴う、給料の上昇がないとこを問題視しています。

アトキンソン氏が上記原因の課題として、日本には中小企業が多すぎることだと。サービスにしろ、製造にしろ、企業の数が多いと1社あたりの従業員の数が少なくなり、企業として規模のメリットが活かせないからだそうです。英国でのマクロデータを基に、論理展開されています。

 

 

そして企業の社長は従業員を養うのに精いっぱいとなり、企業としての収益向上に繋がる努力をしないのが最大の癌だと。だからこそ政府が最低賃金を徐々に上げていくことで、企業経営者に生産性向上の努力をさせようとするのが狙いになります。

まぁざっくり要約すると、”パイが限られている中で企業の数が多いと、1社あたりの収益が減る=設備投資に回せるお金が減る=企業の生産性向上が微力になる=昇給しないのが当たり前になる。そこを政府が最低賃金上昇というケツ叩きで動かす”だそうです。

春闘の時期に報じられる内容を見るとトヨタ自動車等の大企業は、だいたい毎年ベアアップやら賞与やら、景気が良さそうな話が聞こえてきます。そして往々にして、毎年それなりの昇給もあるそうです。

そういう意味でも能力のない経営者がいる企業は統廃合し、スケールメリットを活かすようにすれば、日本企業の生産性(付加価値の)向上も起こるのかもしれません。

そしてアトキンソン氏は菅内閣になってから成長戦略会議のメンバーに入りました。昨今取り上げられている中小企業再編の話などは、まさにアトキンソン氏が提唱していた内容になります。

 

さて。この話と流れに真っ向から反対するのが、株式会社経世論研究所代表取締役社長であり経済評論家の三橋貴明さんです。最近の俺はすっかり三橋さんのファンになってしまい、毎日ブログや動画をチェックしています。

三橋さんの主張を要約すると下記の通りになります

①日本の生産性低迷はデフレが要因である

②デフレの原因は他先進国と比較しても、日本政府の支出が異常に少ない緊縮財政をしているから

③デフレ脱却なくして、賃上げするなどありえない

④中小企業再編は外資系金融機関のM&A戦略である

 

まず①と②の事実を知っておく必要があります。

政府機関の支出(公共事業)は民間(我々)の収入であり、政府機関の収入(税金)は、我々民間部門の支出(赤字)になります。つまり、日本以外の先進国は政府機関が積極的に財政出動をした結果、GDPが向上し、所得上昇に繋がっているということになります。

 

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出典元:新世紀のビックブラザー

 

いわゆるMMT(現代貨幣理論)の考え方になるわけですね。④に関しては話すと超長くなるので、ここでは割愛。

よって、三橋貴明さんはアトキンソン氏をハゲタカだと揶揄しております。ブログみるとわかりますが、アトキンソン is 糞 ってレベルですw

 

さて、俺はどちらの主張も正しいと思います。しかしどちらかというと、三橋さんは自分の考えに執着し過ぎでは?と感じるレベル。アトキンソンは政府機関の財政出動の観点はあえて入れずに資本主義経済の基、民間の力だけでの提案でしょうか。

もちろん政府の財政出動が少なすぎるのは事実ですが、企業が生産性向上の努力の仕方が間違ってる可能性も『大いにある』と思ってるからです。 

さて、森岡毅さんというP&Gでマーケターとして活躍され、倒産しかけたUSJを再建させた方がいます。森岡さんの著書『確率思考の戦略論』の中で、USJ再建にあたっては以下の話をされてました

・価値向上で値下げ競争に走ると、世界ブランドと戦えない

・業界TOPが値下げをすると、業界全体の値段が下がってしまう

・価格向上に見合った魅力を向上させる

・そのために統計に基づいた正しいマーケティング戦略を行う

森岡さんがUSJの再建に携われてからの入場料は、10年で43%アップしています。ライバルのディズニーは32%アップです。目標はディズニーの入場料金に追いつく魅力を提供することだそうです。※今はUSJでお仕事されてません

三橋さんの主張では、政府が財政出動してこなかった=GDPが向上しないから賃金上がらないと言われてますが、上記テーマパークは順調に値上げしています。それもこれも全て、企業の努力です。

つまりアトキンソン氏と三橋さんの『インフレ』に対する観点は異なるんですよね。

アトキンソン氏:値上げを受け入れてもらえるような魅力ある物・モノを提供する

三橋さん:政府が支出することで民間の需要を高め、購買力向上に伴うインフレが必要

 そしてGDPに対する観点も、両社で微妙に異なります。

アトキンソン氏:売れもしない物を頑張って生産しても意味はなく、大事なのは付加価値

三橋さん:企業が生産しようと思える状態に民間の需要を高める 製品付加価値への言及無し

 

俺にいわせりゃ、どっちも正しい。しかしながら政府が支出を増やして民間の収入が増えても、日本で小売店の値段が上昇するようなインフレって起きるんですかね?

いやね。日本ってデフレマインドが染みつき過ぎてて、値段据え置き容量削減っていう、ステルスインフレは発生してるじゃないですか?

キットカットの袋売りも、そう何袋も買わんし。でも、値段が少し高いゴディバみたいな高級チョコは、平気で買うやん?みたいな。

そうすると三橋さんが主張する方法を政府がとったとしても、企業経営者が従業員へ給与を高める行動してくれないと、狙ったインフレって起こらなさそう。

 

つー訳できしやんが期待する成長戦略会議のメンバーには、竹中平蔵と三浦瑠璃を削除して、三橋さんと黒田日銀総裁入れたいですね。

 

RANGEって本に書いてましたが、『全てを解決してくれるマスターキーなど無い』ってことです。経済も経営も難しいですね。

 

 

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