2017年の法改正により、確定拠出年金は国民全員が利用できるようになりました。
今まで『投資』という世界に縁がなかった人達も、会社が企業DC制度を導入した事に
よって投資の世界に振れることになったかと思います。
そして企業DCが導入される際の説明会では運用の基本は『長期・分散・積み立て』と
言われたと思います。しかし運用方法というのは戦術であって戦略とは異なります。
私は確定拠出年金の長期的な運用、すなわち出口を見据えた『戦略』は「つみたて
NISA」程ほったらかしではいけないと思っています。
私が確定拠出年金の運用は、あまりほったらかしてでいけないと思う理由は下記3点
①資産を取り崩す(受け取る)時も、毎回手数料が発生する
②運用可能な期間が決まっている
③拠出ができない運用指図者の間も、毎月手数料が発生する
資産全体のアセットアロケーションを上手にコントロールできている人なら、私が懸念
していることは気にしなくていいと思いますし、そもそも気にすらしない人もいる
でしょう。しかし「知らない」と「知っている」では雲泥の差がありますので、今回の
記事を通して、確定拠出年金の運用への不安が払拭できれば幸いです。
1.分割受け取りによる手数料はバカにならない
一般的に積み立て投資の出口戦略は、損益状態に関係なく定率解約といわれています。
世界時価総額比率に分散された株式ポートフォリオを保有している場合、世界市場の
成長率3%ぐらいがリターンとして期待できます。
定率解約の手法は毎年資産全体の4%ずつ解約することで、株式リターンの3%に
よって資産の減少スピードをマイナス1%ぐらいに抑制できる可能性があります。
しかし確定拠出年金の場合忘れてはならないのが、資産を取り崩す度に432円の
手数料が発生します。
たかが432円かもしれませんが、下記表を御覧下さい。つみたてNISAだと投信の買い
付け手数料がゼロ%なのを考えると、確定拠出年金を取り崩す際に発生する手数料は
けっこ~な割合です。
仮に確定拠出年金を60歳から20年掛けて取り崩した場合、支払う手数料は合計で
10万円を超えます。
ちなみに現在の制度では分割受け取り(老齢給付金)の場合
・5年以上、20年以下の期間で
・年単位での取崩し割合は5%以上、50%以下
となっています
つまり確定拠出年金の出口戦略はつみたてNISA程の自由度&手数料の優遇がないので、
資産を積み上げていく時から退職所得控除のフル適用(一括売却)も、ある程度視野に
いれておく必要があります。
これが私が、 確定拠出年金の運用はあまりほったらかしてでいけないと思う1つ目の
理由です。
この解約時に発生する手数料ですが、企業DCでも勤務先と金融機関との契約内容
によっては実費負担となる場合があります。よって、勤務先が企業DCを導入している
場合は、自分で確認しておきましょう!
2.含み損がプラ転するまで待とうとしても時間的制約がある
自分が確定拠出年金を取り崩す際、含み損があったらプラスに転じるまで待てば
いいのでは?と、普通なら思います。
しかし確定拠出年金の現在の制度では、我々が運用できるのは
資産の積み上げ:60歳まで ※制度改訂で65歳までにしようとしてます
取り崩し:70歳から行わないといけない
そう。仮に自分が60歳時点で大きな含み損が発生した場合、資産がプラスに転じるまで
自分に与えられた時間は10年間です。そして60歳から70歳までの間は資産の積み上げが
できないだけでなく、毎月103円の手数料がとられます。60歳からの10年間で支払う
手数料は合計で12,360円です。
ちなみに70歳までに取り崩しの請求をしなかった場合、一時金(一括売却)として
受け取るための書類が送付されてきます。
この書類が来た瞬間、『そんなはずじゃなかったのに!?』とならないようにましょう
下記リンク先には、確定拠出年金に関する様々なQ&Aが掲載されてます。
3.確定拠出年金の出口戦略は、よく考えておこう
確定拠出年金は名前の通り年金制度なので、自分が拠出した元本に対しても課税
されたり、適用できる税控除も異なります。
www.oyagakoniosieyou-fosterassets.com
世帯によって保有している資産・加入している年金保険・勤務先の退職金制度も異なる
ので、最適解ってのがほぼ存在しません。
税控除の適用に関する詳細は私の様な素人よりも専門家のHPを見てもった方が
分かりやすいので、当ブログでは確定拠出年金の出口を見据えた戦略に関する
ポイントを考察します
Point①:一時金(一括売却)として受け取りたいかを決める
全てはここだと思います。
インデックス投資は損益状況を気にせず積立てて、定率で取り崩すのが一般的な
方法ですが、確定拠出年金にもその『戦術』をそのまま適用するかも、人それぞれ
です。
しかし退職所得控除は税制優遇の観点では大きいので、使わない手はありません。
では確定拠出年金で運用しながらどうやって一括売却までもっていくか?
1つの例として、早い段階で最後まで保有する株式の割合を決めておき、60歳までに
株式と債券の割合を徐々に変かさせていく方法です。
仮に60歳で一時金として受け取る計画で、最終的に株式の割合を20%にしておきたい
なら、5歳刻みで確定拠出年金内のポートフォリオを機械的にスイッチングしていく
方法です
※毎年変化させてもOK
このやり方のデメリットは、株式の保有割を早い段階で少なくしてしまうので、
リターンが低くなる可能性があります。ちなみに私はこの手法をベースに、
45歳ぐらいから株式の割合を少しずつ減らしていく予定です。
Point2:一時金を受け取った後、再び運用するか?
損失を給与などで補填できない状況は、非常にリスク許容度が低いことを忘れては
いけません。
生活を成り立たせる事が最優先ですが、一時金全てを直ちに使用する訳でもありま
せん。自分が一時金を受け取った際は、その時点で利用可能な非課税制度を利用して
高配当ETFを買い付けたり、残った資金は株式の割合を減らしたバランスファンドに
投入するつもりです。給与所得を失った際に最優先すべきはキャッシュフローを確保
することであって、積極的に資産を増やそうとするのは得策と思えません。
Point③:分割受け取り最低期間の、5年間で受け取りきる
現行制度では、確定拠出年金の分割受け取りは最低5年間以上となってます。
真っ先に決めておかないといけないのは一時金の時と同様ですが、『何歳から受け取り
開始するか?』を前もって決めとかないといけません。
それに合わせてPoint①と同様に、確定拠出年金内のポートフォリオの比率を徐々に
債券寄りにシフトしていくのです。株式と債券の割合が何%で良いかは、自分が
耐えれるリスク内にしておかないといけないので、これまた自分で考えておく事が
重要となってきます。
以上、 確定拠出年金の出口戦略に関する考察を終了します。
確定拠出年金はつみたてNISAより制約が多い制度なので、早い段階から終わりを
見据え且つ、最新の制度変更内容を把握し、戦略を考えておく事が大切です。
ほったらかしで良いのは運用方法(戦術)なのであって、確定拠出年金に関しては
取り崩しを視野にいれると、あまりほったらかしではいけないと思っています。
↓↓ブログランキングの投票ボタンです。
良ければ、ボタンをクリックしてもらえると嬉しいです☆