呼び名はいろいろあれど、これらの制度は確定拠出年金という私的年金制度です。
誰が言ったか人生100年時代。生きてる間にお金が足りなくなるリスクへの対策として
国や金融機関・有名なFPさん全て、私的年金制度である確定拠出年金を勧めておられ
ます。
その確定拠出年金を勧める理由の1つに『自分で拠出した金額が所得控除され、節税
効果がある』とありますが、お金に関する制度で何でもかんでも美味しいだけの話が
あるのでしょうか?
まず結論から申しますと確定拠出年金は資産を取り崩して受け取る際に全額が課税
対象となりますので、節税効果だけに注目してはいけません。今回は定拠出年金の
優遇制度に対して、つみたてNISAと比較してお伝えします。
1.管轄の違いを知っておく
つみたてNISA:金融庁
確定拠出年金は年金制度の1つですので、制度の管轄は厚生労働省です。
厚生労働省に資産運用の知識がどこまであるのか不安です・・・
2.年間投資枠の観点
つみたてNISAの年間投資枠は40万円、確定拠出年金は職種・企業DBの有無で年間投資
枠が決まりますが、双方の制度共に『年間投資枠に上限』があります
iDeCoの年間投資枠概要
個人事業主:81.6万円
第三号被保険者:27.6万円
厚生年金加入者:14.4~27.6万円(勤務先の企業DB制度の有無により変わる)
3.運用利益の扱い
配当金や株式の譲渡益には通常、分離課税にて20.315%(所得税15%+住民税5%
+復興税0.315%)徴収されますが、つみたてNISAも確定拠出年金もこの分離課税は
ありません。運用による利益は双方共に非課税です
4.投資元本への優遇措置
税金の基本計算式は 母数 × 税率 です
確定拠出年金は自分で拠出した分は年間所得から控除される為、税金を算出する際の
母数が小さくなることから節税効果が生まれます
年収 ー 確定拠出年金での拠出額=母数
そしてこの節税効果は、つみたてNISAにはありません
おそらくここまでは、当ブログの読者様や大多数の人が知って・理解している範囲と
思われますが、問題はここからです。
5.確定拠出年金の資産を受け取るとき
運用資産を払い出す(受け取る)時、つみたてNISAは評価額(投資元本+運用利益)
全て非課税ですが、確定拠出年金は
投資元本含め全て課税対象となります
具体例を出すと、確定拠出年金での投資先をず~~~っと定期預金(元本保証)に
していたとします。そして確定拠出年金で積み立てた定期預金の資産を受け取る時は、
自分が払ってきた元本含め全て課税対象となるのです。
当然ながら運用利益に対しては非課税ですが、仮に定期預金でしか運用してなくて
確定拠出年金を受け取る際に課税さると、元本割れしない定期預金で運用してたにも
関わらず、税金取られて元本割れが発生します。
ただし確定拠出年金は『年金』制度ですので、退職所得控除または公的年金等控除の
適用を受けれることも忘れてはなりません。
※税控除のお話は、別の記事にしたいと思います
昨年、確定拠出年金の口座開設数者が100万人を突破したと報道されましたが、
上記事実をただしく理解している人は何%いるのでしょうか?
有名なFPさんが出している確定拠出年金の本でも、このこと(元本も課税される)に
関してはサラっとしか記載していませんし、本によっては記載すらしていません。
巷でiDeCoは『所得控除による節税効果あります!』と言われていますが、受け取ると
きに評価額(投資元本+利益部分)全てが課税対象となるため、節税効果という観点
では『嘘ではないが正しくない』という訳です。
6.投資した際の所得控除はなんのためにしてるのか?
私が思うに確定拠出年金に於ける所得控除の狙いは、手取りが増えた分をさらに
iDeCoや つみたてNISAに追加投資することで、資産形成のスピードを加速させる
為です。つまり手取りが増えたからと言って他の支出に宛がってしまうと、確定拠出
年金を受け取る際に手数料(税金)負けしてしまう可能性があります。
7.まとめ
今回説明した内容を表にしました
確定拠出年金は資産形成時だけ税負担が減るが、受け取るときは課税対象となることを
忘れてはいけません。巷でよく聞く『確定拠出年金(iDeCo、企業DC)は節税対策に
なります!』の言葉の裏には、この様な事実が隠れています。
お金に関しては世の常ですが、美味しいだけの話 は存在しないのです。
確定拠出年金の制度を正しく理解して、活用しましょう!
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