ここ数日、少し話題になってる内容があります
・セゾン投信のセゾンバンガードグローバルバランスファンド(以後セゾングロバラ)
・三井住友TAMの世界経済インデックスファンド(以後世界IF)
双方のファンドは、インデックスファンド?アクティブファンド?どっちが正解?
ってな感じです。
私もブロガーの端くれなので、ちょこっと流行に乗っかりたいと思います。
1.そもそも何でこんな話が出てるのか
日本の公募投資信託で株式:債券=50:50で国際分散投資が可能な有名処は
ご存知の通り
①セゾングロバラ
②世界経済IF
この二つです。
数ある積立投資系の書物においても、この二つの投資信託は手軽&ほったらかしで
積立投資が可能なお勧め投資信託として取り上げられてますので、知名度抜群です。
アクティブ運用&アクティブ投資信託は、企業リサーチ等で発生する高い手数料が
足を引っ張り、全体的に市場平均を上回る成績があまり出せておらず、
世界的な風潮で(日本でも)リターンはインデックス運用>アクティブ運用の
印象が根付いています。
セゾングロバラは、アクティブファンド達がリーマンショックでボロボロな
運用成績になってた中、セゾン投信の中野社長&個人投資家の努力により、
リーマンショックを耐え抜いて非常に高いリターンを叩き出しました。
その成功体験が、国際分散投資をしていれば世界経済の成長の果実を得られると
投信業界に光を当てて歴史を作ったのですが、実は誰もセゾングロバラの中身や、
後発の類似ファンドである世界経済IFの詳細に踏み込んだことをしてませんでした。
噂が先行、聞いたがままってやつですね。
で、ここからが今回の議論に至った発端になるのですが、私達はセゾングロバラと
世界経済IFのアセットアロケーションに対して下記認識をもっていました。
①セゾングロバラ:世界経済時価総額比率
②世界経済IF:世界経済GDP比率
であり、「その比率に基づいた」「インデックス運用」をしている・・・
はず。。。。。。
でした。
この「はず。」が交付目論見書をよ~く読むと、認識と事実が異なっていたのです。
2.セゾングロバラと世界経済IFの交付目論見書で事実を知ろう
まずはセゾングロバラの交付目論見書を見ましょう
注目すべき箇所は一番下の背景グレー箇所の
株式と債券件の投資比率は原則50:50
投資対象ファンドへの資産配分比率は、各地域の
株式及び債券市場の時価総額を勘案して決定します。
つまり、
・株式と債券の比率は50:50になるようにする
・資産配分比率は各地位の時価総額に基づいて決定します
って断言してませんので、極論言うと株式も債券も地域も全て、
ファンドマネージャーの意志にて、その比率をいかようにでも変更できる
状態なわけです。
次に、世界経済IFの目論見書です
目論見書に赤線引きましたが、注目すべき箇所は
組み入れ比率は地域別(日本・先進国・新興国)の
GDP(個構内総生産)総額の比率を参考に決定します
と書かれてあり、世界経済IFも地域別の組み入れ比率はファンドマネージャーが
任意で決定できることがわかります。
では実態はどうなのか?
世界経済IFの目論見書によると、2016年度世界GDP比率が
国内:6.3% 先進国:54.8% 新興国:38.9%なのに対して
世界経済IF(2017年2月から)の組み入れ比率は、
国内:10% 先進国:60% 新興国:30%と
世界GDP比率に対して日本含む先進国への比率を大きくしていることが分かります。
交付目論見書通り世界GDPを参考にファンドマネージャーが組み入れ比率を
調整してることが分かります。
ここまでをまとめると、
①国際分散投資をしたくて、セゾングロバラ or 世界経済IFを通じて
国際分散インデックス投資をしていた
②世界時価総額比率、世界経済GDP比に連動を目指すインデックス投資を
行っていたと思っていた
③実際はファンドマネージャーの意志により、自分達(投資家)の
意志(目標指数)と異なる指数を目標に投資をしていた
⇒①+②+③でアクティブファンド やぁんかぁ~い!
ってのが、今回の話の経緯です。
3.そもそもインデックス運用とアクティブ運用の違い
まずは言葉の定義から整理したいと思います、
インデックス運用 http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/i/J0120.html
目安となる指数(ベンチマーク)に連動した運用スタイルのことです。
インデックス(指数)である日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等の
インデックスをベンチマークとして、それに連動した値動きをするよう
運用します。
アクティブ運用 http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/a/J0119.html
目安となる指数(ベンチマーク)を上回る成績を目指す
運用スタイルのことです。
インデックス(指数)である日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等の
インデックスをベンチマークとして、それを上回る成績を目指します。
運用のプロであるファンドマネージャーが市場や個別銘柄の調査、
分析を行い、その結果をもとに銘柄を選定して運用します。
世界経済IFで話を進めますと、広義で見ると手法としてはインデックス運用を
実施しているのですが、目標とする指数に対しては世界経済IFの
ファンドマネージャーが意志をもって世界GDP比率に対して異なる比率で
組入れ割合を決めているので、狭義で見るとこれはアクティブ運用になります。
株式と債券の割合を 50:50から30:70とかに機動的に運用スタイルを
変更している訳ではないので、完全なアクティブファンドか?と言われれば
そうではないのですが、ファンドマネージャーの意志でそれを実現できる
可能性を残してしまってる状態からすると、世界経済IFは間違いなく
アクティブファンドになりますね。
言葉の定義を再度確認すると、インデックス運用は目標となる指数に連動した
運用スタイルのことです
世界GDPも時価総額比率も世界の経済成長によって毎年変わりますので、
世界経済IFもセゾングロバラも、目標指数が毎年変動するのは問題ありません。
しかし、目標となる世界経済の流れと一緒に変動する指数を調整してしまっていては、
それはインデックス運用とは言えません。
4.たぶん今回の話の発端
インデックス投資アドバイザーとして有名なカン・チュンドさんの
記事によるものだと推察します
この記事の中で引っかかった箇所を、カンさんの記事を引用します
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、8つの異なったアセットクラス(マザーファンド)に投資を行います。
この8つのマザーファンドはすべて、時価総額加重平均に基づく『ピュアなインデックスファンド達』です。それらを、運用会社の
【組み合わせ方】ひとつの考え方 に基づき、大胆にも、12.5%ずつ
均等に保有しているわけです。
この『配分の仕方』に、アクティブ的要素はないのでしょうか?
(わたしは「ある」と思います)(たとえば、東証REIT指数
マザーファンドなど、時価総額の大きさで比較すると、かなり
「オーバーウェイト」していることになります)
しかし、それが「悪い」というわけではありません。【複数のアセットクラスの組み合わせ】であるバランスファンドでは、
その【組み合わせ方】において、大なり小なり、運用会社独自の
考え(個性)が入るのは当然であり、すべてのバランスファンドは
『アクティブ的要素を持つ』、といってもいいくらいなのです。
題材にされてる8資産均等インデックスファンドは、確かにREITの組み入れ比率が
実際の世界時価総額比率に対してオーバーウェイトしてます。
しかし投資家は8資産均等の指数で良しと判断して、その8資産インデックスの
合成指数に対してインデックス投資をしようと判断したのですから、
それがファンドマネージャーの意思で急にほぼ6資産均等なんかにされたら
誰も投資しようと思いませんし、それってただのアクティブファンドです。
カンさんは、その様な運用スタイルもインデックスバランスファンドとして
「あり」と言われてる訳ですね。
考え方は人それぞれなので良いのですが、言葉の定義に対していうと
カンさんの発言はとても矛盾したことを言われています。
5.どこまでが国際分散インデックス投資なのか
世界経済IFとセゾングロバラの付加価値は、株式:債券を50:50にして
ほぼ世界経済の比率に沿った運用が手軽にできる投資信託だからです。
いくらファンドマネージャーの意志でいろいろ変更が可能だとしても、
この50:50の割合を変更するとは考えにくく、それを証明するのは、
世界経済IFに対する世界経済IF 株式シフト&債券シフトの存在です。
世界経済IFシリーズは、付加価値として株式:債券の組み入れ比率が異なる
3つのバランスファンドがあり、期待リターンとリスクは、下記のようになります
バラつきは2標準偏差
円換算未ですが、株式:債券の比率に関わらず期待リターンは
ほぼ一緒にも関わらず、リスクは株式の比率を下げた分だけ
小さくなっているのが分かります。
つまり、世界経済IFは株と債券比率が異なるラインナップを設けることで
差別化を図っているので、株式と債券の組み入れ比率を急に変更するのは
自社競合となるだけで無意味です。
ちなみに世界経済IFは実際に年度毎に割と組み入れ比率を
変更しており(世界GDP比に対する調整度合いまでは不明)、把握してる範囲は
下記のようになります ※間違ってたらすみません
国内:先進国:新興国 (%)
2009年 5:32.5:12.5
2010年 5:30:15
2013年 5:27.5:17.5
2017年 5:30:15
バラつきは2標準偏差
しれっと8資産均等も入れましたが、このグラフを見て一目瞭然なのが
国内株式に偏ったアセットアロケーションにしなければ、
期待リターンもリスクも、ほぼ一緒ってことですね。
<結論>
セゾングロバラも世界経済IFも、狭義でみれば完全なアクティブファンドですが、
株50:債券50の比率を崩さない限り、地域別組み入れ比率を多少変更しても
期待リターンとリスクはほとんど変動しないのです。
よって、今の思想でもOK&0.5%オーバーの信託報酬を受け入れ可能なら
セゾングロバラと世界経済IFは、今まで通り変わらない付き合い方で
OKってことになります。
それでも絶対的な世界GDP比率が良い!って人に対してお勧め投資信託は
次回当たりの記事でUPしたいと思います。
非常に長くなり恐縮です&ここまで読んでいただき、ありがとうございました。