おはようございます
現代ビジネスのマネー版にて、大企業で採用されている企業年金制度が、
会社(現役従業員の生活)や退職者の年金をブチ壊す可能性があると、しれ~~っと
アップされてました。
2017年は年金に関する法改正をきっかけに、日本国民全員が確定拠出年金に加入できる
ようになりました。
これを皮切りに、勤務先での退職金制度が確定給付年金(企業DB)から確定拠出
年金(企業DC)に変更となった企業も多いかと思います。
日本企業の退職金制度が大転換を迎えるさなか、「うちの会社(日経225組入れ大手)
は関係ねぇよ~」って思っている人もいるでしょうが、それも時間の問題です。
そして自分が既にOBとなっている人も、無関心ではいられません。
1.企業DBと企業DCの違い
いわゆる企業年金とは退職金ですので、従業員が定年(仮60歳)まで勤務すると
考えると、会社としては30年以上の期間をかけて用意する時間があります。
銀行預金は0.001%という無いにも等しい金利ですが、退職金を用意してあげる
会社からすると、従業員への退職金となる元本を株や債券を通じて運用することで、
投資で増えるのが前提なら、会社としては元手を少なくする事ができます。
このように勤務年数に応じて決まった企業年金(≒退職金)を確定しておく制度を
企業型確定給付年金(企業DB)と言います。
企業DBは、従業員からすると何でもかんでも会社がやってくれる便利な制度ですが、
会社からすると支払う退職金が確定してしまっているので、運用によって確定金額に
到達していない場合は、会社が追加で補填する必要があります。
しかしながらバブル崩壊以降、日本は超低金利が続いていますので退職金(企業年金)
の運用も当時の様に順風満帆にはいかなくなりました。
それにも関わらず支払う退職金が確定している企業DBでは、不足分を会社が
補填する負担がつきまとう為、会社としては体力(お金)を削られることに
なります。
そこで用意する元本(拠出)は同じだけど、運用は自分達(従業員側)で宜しく!
これまでの予定退職金額に到達していなくても、払った元本は同じ額だから
補填はしないからね!
ってのを、企業型確定拠出年金(企業DC)といいます
文字とグラフだといまいち分かり辛いかもしれませんので、表にして
まとめてみました。
2.企業年金の不足分は貸借対照表(B/S)に計上されていない!?
冒頭で添付した現代マネーの記事の中で注目しないといけない部位を引用します
「年金は、いわば企業にとってバランスシートに載らない『隠れ債務』
なんです。ソニーに限らず他企業でも、その借金の金利も含めた返済
財源が確保されていない問題が表面化してきている。
マイナス金利や景気停滞の影響を受け、想定の運用を達成できない
可能性が高まったからです」
・・・・・。
はぁっ!!??
隠れ債務は決算書の貸借対照表(B/S=バランスシート)に計上されていないと
あります。これはとてつもなく恐ろしいことです。
なぜならB/Sに隠れ負債が計上されていないと、会社の役員も株主も会計士も、
企業の財務健全性が判断できていないことになるからです。
一般家庭レベルに話を落とすと、毎月の収支と貯金残高を把握しててもある日突然、
祖父母が死んで負債まみれの相続が発生しても、相続拒否できません!みたいな。
ただ単に、現代マネーの記事を信用するには疑問があるのも事実です。
企業DBのように運用成績が左右することによって将来発生する追加コストが
不明なのは分かりますが、退職金の運用を任されている部署などは退職金の運用
利回りが何%なら○○兆円必要ってのは把握しているでしょう。
その為に、毎年の会計の中から退職金の補填用に充当していると思われますので、
自身の勤務先が企業DBの場合、退職金の運用状況は確認した方が良いと思われます。
全てが現代マネー紙が指摘するような悲観的に考える必要はないものの、企業DBを
維持するために会社の利益を圧迫し、現役社員の給与や賞与に反映できないのは
事実です。
だから昨今、退職金制度が企業DB⇒企業DCに替わりつつある訳ですね。
3.全ての企業の企業DBを廃止し、企業DCになるのは時間の問題
トヨタ自動車の社長が昨年、記者会見でこのようなことを発言されていました
日本では、正社員を雇用したら、新卒から定年までの38年間、辞めて
もらうことも、基本給を下げることもできない。スタメンを決めたら
試合が終わるまで選手交代禁止でゲームを戦っている。他国は状況に
応じて自由に選手を入れ替えてゲームが進む中、チームジャパンはやり
直しや試行錯誤や状況に応じた変更ができない。これは経営者に
「38年間必勝の作戦をチーム編成前に立てよ」と言っているに等しい。
豊田自工会会長モノ申す 日本経済をダメにする税制 (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン
日本企業がこれから先も世界の企業と戦うに財務体質の強化は避けられません。
会社が従業員の解雇は頑張って守ってくれたとしても、見通しのたたない退職金
制度まで会社がおんぶだっこの次代はもう終わりなのです。
他企業と競争に敗れて給与やボーナス削減。ましてや買収や倒産になるぐらいなら、
自分達でできる退職金の運用は自分達でやらないといけない時代になってる訳ですね。
企業のサスティナビリティを考えることは、私たち皆の生活を考えることを意味
します。大切なお金のことを、私たち大人が真剣に向き合って考えていきましょう
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