こんばんは、きしやんです。
最近はモトリーフールジャパンへの寄稿記事の紹介ばかりですみません。
2週間ほど前から激務でブログはおろか、経済ニュースすらまともに見てませんでした
さてこの2週間で金融庁が発表した報告書を端に、公的年金への不満の声が続出して
います。もはや公的年金制度が破綻したかのように、『払った金かえせ!』や
『年金制度止めろ!』等という罵声も聞こえますね。中には『年金受給開始を
70歳からとかふざけるな』とか、もはや脊椎反射に近い苦情の声まであります。
はっきり言って公的年金制度は破綻していないし、ちゃんと貰えます。
65歳を基準に、60歳から受給開始可能です。あくまでも70歳や75歳って議論は
受給開始年齢の繰り下げを可能とする、選択肢を広げる案なんですね。
しかし、我々現役世代が年金を65歳から受給する時は、現在受給している世代より
2割は減ります。こればかりは受け入れるしかありません。
私は年金制度に専門的な知識がある訳ではありませんが、私が知っている範囲の
事実をお伝えします。不備がありましたら御指摘ください。
1.公的年金制度は、掛け捨て保険である
そもそも公的年金は給与明細や国民年金の支払用紙を見ると分かりますが、
『●●年金保険』とかかれています。公的年金も保険なので、被保険者から集めたお金で
支払などの維持をしています。つまり意味合いとしてはソニー生命やアフラック等が
販売している『掛け捨ての保険』と同じなのです。
よって公的年金制度は、我々の財産でないことを理解するとこから始まります。
※iDeCo等は年金制度3階建て部分の私的年金になるので、自分の財産になります
Point①:公的年金制度は自分の財産ではなく、ただの掛け捨て保険
2.公的年金を賦課方式にするのはインフレ対応
日本の公的年金制度は、現役労働者が支払う保険料によって現役高齢者が受給する
賦課方式という制度になります。
公的年金制度に不平不満を言う人は『自分達が払ってる保険料が現役の高齢者に配られるのなら、積立て制度にしろよ!』って主張です。気持ちは分からんでもないです。
実は日本も公的年金制度発足時は積立て方式でした。
しかし、積立て制度だと成り立たなくて賦課方式になったんです。
なんでかって?
それは積み立て方式だと、自分が積み立てたお金を受け取る際はインフレによって
購買力が低下するからです。私の親世代(1960年代生まれ)の大卒初任給は、
約3万円です。2019年の大卒初任給は約21万円です。その差7倍。
※青の折れ線グラフ参照
私の親世代(1960年代)が初任給として貰った3万円は、利回りが期待できる場所で
保管・運用していなかったら、2019年の大卒社会人が支払う金額からすると価値は
7分の1しかありません。
つまりは、50年後には購買力が激減(現金の価値が減る)していた訳です。
この購買力低下に対応する為に、現在の購買力を加味した給与所得を得ている現役
世代の保険料を、年金受給者へ支払っています。そのための賦課方式なんですね。
Point②:賦課方式はインフレへのリアルタイム対応
3.全ての元凶は少子高齢化
賦課方式とは現役世代が支払う保険料から、年金受給者へ支払われる制度です。
しかし日本の場合はこの先数十年の間に、需給バランスが非常に大きく崩れます。
その元凶は全て、聞き飽きたと言っても目を背けれない少子高齢化問題です
2055年の人口推移を見ても、少子高齢化は解消するどころか悪化の一途を辿って
います。この人口推移の形状を通称:棺桶型 といいます。
年金受給額は、現役世代が支払う保険料で決まる。
我々現役世代が将来貰える額が減る理由が、この少子高齢化問題なんですね。
しかし国も無策でいる訳ではありません。現在の年金受給者が今の金額を貰い続けると
公的年金制度が成り立たなくなります。
その対策として年金の受給バランスを維持する為に、マクロ経済スライドが導入され
ました。現在年金受給している人達からしたら『年金カット法案』。
年金保険料払う我々からしたら、公的年金制度維持法案。立場が変わると、受け取る
単語すらも変わるのも面白いところ。
マクロ経済スライドは公的年金制度の維持を図る為にあります。これが100年安心の
意味。公的年金で一生安泰の生活費を保障するわけではありません。ここ重要です!
Point③:年金受給額が減る理由は少子高齢化問題
4.所得代替率の考え方
マクロ経済スライドで年金制度を維持したとしても、何をもって支払額を決めて
その検討にあたって年金受給モデル世帯となるのは、サラリーマンの夫が平均賃金で
40年間働き、妻は40年間専業主婦で年金支給額を21万8000円としています。
そして現役世代男性の平均月収約34万8000円を基準とすると、現在の年金受給モデル
世帯は、現役労働世代の賃金に換算して約62%を受給していることになります。
これが、所得代替率の考え方です。
そして日本の公的年金制度では、この所得代替率50%以上を維持しようと検討・検証
されています。
ただ注意が必要なのは、このモデルケースです。
毎月約22万円の年金を受給している世帯は、現役時代に配偶者の片方が
平均月収の収入があったということです。現役世代の収入が平均月収以下の場合、
モデルケースより少なくなることを理解しておく必要があります
Point④:モデルケースの受け取り方には注意が必要です
5.日本の経済成長が順調にいっても、2割は減る
結局のところ、年金保険料と受給額のバランスはマクロ経済スライドを適用させたと
しても、少子高齢化問題によって我々世代が受給する金額が減る問題は解決でき
ません。
我々が年金を受給する際の所得代替率は、現在の年金受給モデルケース(月額支給額
21.8万円)に対し、今後の日本の経済成長によっていくつかのシナリオがあります
※2055年時点の所得代替率と、それまでの成長率
現在の所得代替率が約62%ですが、仮に日本の経済成長が明るいケースAだとしても
2055年での所得代替率は50.9%と、現在比マイナス18%=約2割減ります。
※急に減る訳ではなく、徐々に減っていきます
現在年金を受給しているモデルケース世帯の受給額21.8万円に対して、18%減った
17.8万円(現在価値)が2055年時点でのモデルケースになる訳です。
我々が年金を受給する=所得代替率が2割減る原因は、少子高齢化問題です。
日本経済がケースAを遥かに上回る奇跡的な成長をしない限り、年金減額はほぼ
解決できないんですね。
しかし、公的年金はちゃんと貰える。老後の生活の基盤となるのは、公的年金制度。
ただし、生活を完全に保障してくれるわけではない事を忘れてはならないのです。
Point⑤:少子高齢化問題によって、我々世代の年金受給額は2割減る
しかしケースHになると・・・
6.番外編:公的年金制度止めたらどうなる?
結論から言うと、いろいろ人生詰みます。
まず最初に、年金暮らししている自分の親の『金銭的な』面倒を誰がみますか?
自分の老後資金も用意しないといけないこの状況で急遽、親のお金の工面が必要と
なります。よほど裕福な世帯でない限り不可能です。
次に自分に兄弟や子供がいない場合、誰が自分の老後を『金銭的に』援助してくれ
ますか?無い袖は振れません。
もし明日自分が怪我や病気になって働けなくなったとき、『誰が金銭的な』面倒を
見てくれますか?
これらの諸問題に国を挙げて対応しているのが、公的年金保険なのです。
これを民間保険で対応するなら、毎月の掛け金は何十万円単位になるでしょう。
メディア情報だけ見てると日本の公的年金は脆く見えますが、実際は日本の英知を
結集して維持・運営している最強の掛け捨て保険だということを忘れてはいけません。
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