こんばんわ。
リーマンショックから10年が経とうとした今、当時を振り返る投資家や投資ブロガーが
多数いらっしゃいます。
内容を拝見すると、当時は株価の下落以上に特に仕事面が大変な状況となり、
本来なら追加投資に向かいたい局面にも関わらず世帯の収支がマイナスになったりで
何もすることが出来なかったとのことでした。
あれから10年が経ち、再び同じ様なショックが来たと想定すると、「全力で買いに
向かう」という人がいる反面、当時を経験した人は「倒産や解雇によって仕事が
なくなったりする恐怖から、全力買いはできない」と反論されています。
リーマンショック時に資金に余裕があった人の中には、恐くて証券口座の画面すら
見れなかったと言っておられることから、今回はなぜ、暴落相場で投資家が合理的な
(買い足しの)行動ができないのか?を、実際に行われた心理学の実験結果を基に
考えたいと思います。
1.何かが足りないことによる、判断能力の低下
心理学者のアヌジ・シャーが過去に、名門プリンストン大学の学生達を用いて実際に
行ったテストがあります。
プリンストン大学の学生を2つのグループに分けて、片方のGrにはクイズの回答時間を
多目に与えられた時間余裕Grと、もう片方のGrは回答時間が短い時間不足Grでのクイズ
対決を行いました。
クイズ開始からしばらくは、双方のGrに成績の差異はありませんでした。
おそらく時間不足Grは「時間がない」という逆境によって高い集中力を発揮していた
のでしょう。そして途中から時間不足Grに対してクイズの回答時間を「借りる」
オプション権が与えられました。
時間不足Grがそのオプションを使って回答時間を1秒借りる為には、次問題から
回答時間が「2秒減る」という利子付きのものです。
時間不足Grは途中まで時間余裕Grと互角の成績だったにも関わらず、なんと
時間不足Grは、オプションを行使して時間を借り出したのです。
今数秒の時間が手に入るなら、次以降にその倍を失っても良いという誤った判断を
してしまいました。要は目先の損失を回避しようとした訳です。
このテスト結果から言えることは、プリンストン大学の優秀な学生であっても、
何かが足りないという状況になると思考に負担がかかり、判断を誤る可能性が
高くなるということです。
2.お金に対して不安になると、論理的思考能力が低下する
アメリカで行われた仮想の負債を負う状況下での、自分の資産額と負債額による
心理テストです。
片方のGrは仮想の負債となる家財の修理代が1500ドルと言われ、もう片方のGrの
家財の修理代は150ドルと言われました。
ちなみにこの2つのGrには、お金に対して裕福 or 裕福ではない人が混在しております。
2つのGrに論理的思考&問題決能力を測定するテストを行った結果、下記のような
結果が得られました。
お金に裕福な人は、修理代が1500ドルだろうと150ドルだろうと成績に影響は
ほとんど無かったのに対して、それほど裕福ではない人で且つ、仮想の
修理代1500ドルを提示された人達は、明らかに成績が悪かったのです。
もう1度いいますが、この家財の修理代は「仮想」なのであって、実際に
請求されていないにも関わらず、無意識の中でお金の心配に取り付かれたという
ことです。
ここでもお金が心配になる(何かが足りないと感じる)だけで、論理的判断能力が
低下することが分かりました。
3.お金の不安が、知能指数に与える影響
新興国のとある農作地帯で、約500人を対象に認知機能テストが実施されました。
テストを実施したタイミングは農作物の収穫前と収穫後であり、農民達にとって今年の
収穫量の良し悪しが来年の生活に影響してくることを考えると、収穫前後に於ける
心理的な違いは、やはりお金の心配です。
そしてこのテスト結果は驚きの内容で、収穫前後に於ける認知機能への影響は
知能指数でいう「優秀」が「普通 or 低い」になる程の差異が出たそうです。
仮想に限らずお金が足りないかもしれないという不安な状況は、脳の認知機能を
恐ろしく低下させることが分かりました。
4.これらの心理テストから言えること
睡眠不足が続いたり徹夜をすると、注意力が散漫になったり、ちょっとした負荷が
過大なストレスに感じたことがありませんか?
実際に行われた心理テストでの被験者の反応は、まさに寝不足状態に近いものを
感じました。
お金が足りない(かもしれない)という不安な状況は、睡眠不足と同様に我々から
冷静な判断能力を奪う結果、株式投資で言うホールドしておけばOKだと知っている
にも関わらずその判断ができなくなって、狼狽売りに走ったり、追加投資(買い
足したり)出来なくなってしまうのですね。
<まとめ>
暴落時に全力で買いに行くというのは我々が生物である限り、理性を超えた
世界へ挑む実現性に乏しいことだという事を理解・認識して、リスク(変動率)を
十分に抑えて市場へ参加するしかありません。
「2.」の仮想負債による実験結果からも読み取れるように、十分なキャッシュを
保有しておくことも、数少ない非合理的な行動を回避できる手段なのだと思います。
ある意味暴落なんか来なくて、年利3~4%ぐらいの普通な相場が長く続いてくれる
ことが、投資家的にはAll OKなんでしょう。
この記事書いてて思った。暴落来なくていいや。
平和に行こう、平和に。ピース☆
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