こんばんは、きしやんです。
先日から読んでた本を、備忘録レベルに記します。
以下、メモレベルの読後感想です。
1970年以降の新自由主義を端とする資本主義経済の遍歴と問題・課題を、経済学だけでなく地政学の観点も取り入れた多次元的アプローチの本。同著者の「富国と強兵」を読んだことがある人なら、既視感がある内容でしょう。
全体の構成としては予備知識なくても読み進められるが、必要とするのは多次元的な観点を受け入れる思考の柔らかさでしょうか。
Twitterなどの議論をみていると、規制改革や市場への自由化を推し進めることが正だと論調が多く、それがまさに1970年代以降のワシントンコンセンサス。いわゆる新自由主義である。
超ざっくり言うと、資本階級にとってはグローバリゼーション化によって生産性を高め、内需が不足すると外需へ輸出していく。そうすると内需が不味しくなる↔資本階級は潤い、労働者の権力が低下する。これが20世紀末から現代に至る流れである。
これを世界の地政学的な流れを鑑みると、新自由主義の台頭と格差の拡大・世界経済の長期停滞はセットであって、それを再構築する手段として、歴史は「戦争」を行ってきた。
しかし現代において目に見える衝突は流行らず、情報戦を駆使したハイブリット戦争になっています。最たる国が、まさに中国。
そして現在はパンデミックを戦争と仮定すると、国家体制(予算規模・外交政策・内需への対応)は戦時中と類似しています。大きな政府≒社会主義に近い状態。
歴史を振り返ると、戦後というのは戦時中の体制(予算規模・福祉体制・防衛)がしばらく継続する置換効果が続くそうです。
この流れが昨今、時代が社会主義化してる!といわれている所以なのです。
現在の日欧米の社会主義的な流れを嫌悪する人が多いのが現実ですが、歴史は韻を踏みつつあります。
最後に、本書から重要な部分を引用して終わりたいと思います。
「統治能力」を高めるか、「衰退」するか
社会主義化への変異は、歴史の必然などではなく、あくまで政治的な意志 に基づく選択の問題である。したがって、社会主義化を選択しないということも可能ではある。
だが、それによって、今後、自国の安全と繁栄を確保できるかどうかは、また別問題であるということは指摘しておかなければならない。例えば、防衛費を抑制し、経済安全保障上の管理を避けながら、中国のハ イブリッド軍国主義という地政学的脅威に対抗し、自国の領土と国家主権を守り切れるのであろうか。
あるいは、「小さな政府」を目指しつつ、パンデミックが長期化ないしは頻発し続けるかもしれない世界の中で、ワクチンや治療薬の開発のための巨 額の投資を行い、医療体制を充実させる方法など、あるのであろうか。
また、ワクチンが効かない変異株が蔓延した場合、強制的なロックダウンをしないでも、感染拡大を防いで医療崩壊を阻止できるのであろうか。
そして、積極財政を忌避し、これまでの新自由主義的な路線を維持したまま、長期停滞を脱却し、所得格差を是正することなど、できるのであろうか。
本書の議論が正しければ、いずれの答えも「否」である
以上です。
それでは皆様、良い投資ライフをお過ごしください☆
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