おはようございます、きしやんです。
私は毎月4本の全世界株式インデックスファンドの運用成績をレポートしているの
ですが、2019年2月度の月次レポートでは4つのインデックスファンドが全て
指数に対して大きく下方乖離しました。 ※詳細は以下のグラフを参照下
(2019年2月度)全世界株式インデックスファンドの成績比較:野村つみたて/ 楽天VT/Slim(除く日本)/Slim全世界 - 親が子に教えよう!お金と資産形成の世界☆
4つのファンドは指数に対して概ね、-0.3%下方乖離しています。
しかもパッシブ運用に定評のある野村つみたて外国株投信ですら、同様に下方乖離が
発生しました。
これはただ事ではないと思いましたので、野村アセットマネジメントと三菱UFJ国際
投信に突撃電話取材を行いました。
結論からすると、これが金融機関が掲げるフィデューシャリーデューティーなのか?
と、残念な形でしたね。
今回の記事は大きく分けて4つ
・何が問題なのか?
・金融機関の対応姿勢
・フィデューシャリーデューティーとは?
・今後の期待
の経緯と考察を書いていきます
1.今回の問題点
大きく別けて2つあります。
<1つ目>
インデックスファンドのリターンは、指数に対してピッタリ追従するパッシブ運用が
求められますが、指数に対してー0.3%も下方乖離しています
<2つ目>
4つのファンドの内、運用対象となる指数は
①野村つみたて外国株とeMAXIS Slim全世界株(除く日本):MSCI ACWI(除く日本)
②楽天VT:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
③eMAXIS Slim全世界株(オールカントリー):MSCI ACWI
と異なりますですが、 指数が違うにも関わらず4つのファンドが全て下方乖離
している
つまり今回の問題はファンドの運用精度以前に、全世界株インデックス全体に共通した
問題が発生していると考えられます。
2.電話取材を実施しました
楽天VTのFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは配当込み指数なのか
分からなかったから楽天投信顧問はスルーして、野村アセットマネジメントと三菱UFJ
国際投信に電話しました。
下方乖離に対する問い合わせに対してどちらの運用会社も開口一番
『信託報酬がマイナス要素となりますので・・・』と言い出します。。。
そんなことは知っている。というか信託報酬は毎営業日毎に微徴収されているのだから
たった1ヶ月で0.3%の下方乖離とかあったら、1年間の信託報酬を1ヶ月で消費して
いることになります。
って上記内容を淡々と反論し、運用担当者に確認してもらいました。
で、もらった回答は両者とも下記の通りです
おそらく現地国通貨の為替影響によるものと思われます。詳細は決算が
終わっていないので分かり兼ねます
意・味・が・分・か・ら・な・い~☆
乖離の原因は何故?と聞いてもまともな回答が貰えなさそうなので、思いつく原因に
対して応えてもらいました
Q:最近エマージング指数に中国A株の組入れ割合が増えましたが、
その影響ですか?
A:違います。全世界株価指数に占めるエマージングマーケットの割合は
12%程ですので、中国A株の保有割合が増えても影響は微々たる物と
考えられます
私の取材力が乏しいため、これ以上の回答を聞き出すことはできませんでした。
運用会社側はあくまでも、決算報告書を待てというスタンスです。
では決算報告書を待てば知りたい内容が掲載されるのでしょうか?私はNoだと
思っています。それは楽天VTの第1回運用報告書を見れば明らかです。
楽天VTの第1回運用報告書では、実質コストが信託報酬の2倍近くかかっている事が
発覚し、インデックス投資ブロガーを驚かせました。しかし運用報告書を見ても
どれくらい乖離したかの『事象』と、何が『問題』なのかの提言はあっても、問題に
対する『課題』は一切かかれていません。
こんなのは報告資料と言うよりは『大変です!困っりました!!』って騒いでいる
だけの資料です。こんな資料を会社の上司にこんなの提出したら怒られます。
各運用会社が声高々にフィデューシャリー・デューティー宣言をしておりますが、
まだまだ顧客の声には応えきっておりません。
3.フィデューシャリー・デューティーとは?
フィデューシャリー・デューティーとは、資産運用業務に従事する金融機関が投資家に
対して負う責任であり、『受託者責任』とも言われています。
金融庁のHPより、フィデューシャリー・デューティーの原則に関したページを
添付します。
https://www.fsa.go.jp/news/28/20170330-1/02.pdf
重っ苦しい内容なので、野村證券用語集が分かりやすくサマライズしてくれてるから
紹介します。
① 顧客本位の業務運営に係る方針の策定と公表
② 顧客の最善の利益の追求
③ 利益相反の適切な管理
④ 顧客が負担する手数料等の明確化
⑤ 重要な情報の分かりやすい提供
⑥ 顧客にふさわしいサービスの提供
⑦ 従業員に対する適切な動機づけの枠組み等
さて、運用会社が昨今の低コストなインデックスファンドを通じて顧客に実施して
くれているフィデューシャリー・デューティーを青文字にし、今回の記事での問題点を
赤文字にしました。
昨今の低コストなインデックスは名前通り『低コスト』によって、②・③の観点を
実施してくれているものの、運用ミス(?)等が発生しても、何も教えてくれません。
機密情報や社外秘情報があるので何でもかんでも提示できないのは理解してますが、
運用報告書をみてもまともな回答が掲載されていないところから、『⑤ 重要な情報の
分かりやすい提供』という観点では、ぜんぜん足りていないと感じています。
そういう意味では、金融機関のフィデューシャリー・デューティーは、まだまだ
道半ばというとこですね。
4.今後の期待
日本に低コストな国際分散投資信託を普及する切っ掛けとなったセゾン投信のHPを
見ると、毎月の運用報告を担当者が丁寧に説明してくれています。
その中で全ての情報を語ってくれてるかは不明ですが、少なくとも『決算終わるまで
お答えできません』というスタンスと異なるのは事実です。
ではセゾン投信と野村AM&三菱UFJ国際投信で、顧客に対する姿勢が劇的に違うのか
というと、そうでもありません。
なぜならセゾン投信が運用するバランスファンドの信託報酬は約0.6%で、低コスト
なインデックスファンドの信託報酬は0.15~0.2%と3倍近い差があります。
これだと1つの投資信託に対して掛けれる経費(手間・費用) は異なってくる
でしょう。
野村AMや三菱UFJ国際投信が提供する低コストなインデックスファンドの純資産総額は
セゾンバランスファンドと比較するとまだまだ少なく、且つ、明らかに商売の足を
引っ張ってる投資信託を多数抱えているのも現実です。
野村AMや三菱UFJ国際投信の低コストなインデックスファンドを通じたフィデュー
シャリー・デューティーがセゾン投信級に到達するには、さらなる運用資産額の
増加と、乱立し過ぎている投資信託の統廃合が必要に思われます。
低コストインデックスファンドのさらなる進化に期待しつつ、現時点ではこれが
限界と感じた1件でした。
運用会社から回答はもらえないものの、引き続き運用精度に対してはイチ投資家として
目を光らせていきたいと思います。
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