こんばんわ。
今回は資産形成に於いて戦略を左右する、住いに関する内容です。
人生の三大支出というと教育資金・老後資金・住宅資金と言われており、この中でも住宅資金に関しては『賃貸派 vs 持ち家派』で意見が分かれるところです。
費用面だけでいうと賃貸より持ち家の方が有利な傾向にありますが、ライフスタイルの多様性に対応するには、持ち家派には下記リスクが伴います
①転勤リスク ⇒ 売却・単身赴任
②災害リスク ⇒ 火災保険等
③近隣住民にDQNがいるリスク ⇒ 話し合い、法的措置
④子供が虐めに合うリスク ⇒ 話し合い、法的措置
⑤離婚した際の財産分与⇒ 話し合い、法的解決
家は人生で最大の買い物なので①~⑤のリスクには頭を悩まさせる問題ですが、解決手法がない訳ではありません。
話が少しそれますが、仕事で高齢化社会×人口減少に伴う問題を調べていたらフード・デザート(食の砂漠化)問題がイギリスを中心に欧米諸国で問題となっている事実を知りました。
そしてこのフード・デザート問題は、賃貸派VS購入派の議論の観点から根本的に抜けているのに気付いたのです。
1.フード・デザート(食の砂漠化)問題とは?
社会・経済環境の急速な変化の中で生じた生鮮食料品供給体制の崩壊と,それに伴う社会的弱者層の健康被害を意味する社会問題のことである。
フード・デザート問題のプロセスを以下に列挙します
①郊外に大型店舗が出展に、街中の小売店が淘汰される
②生き残ってる小売店も人口減少によって収益が確保できなくなり、倒産、撤退を余儀なくされる
③人手不足によって小売店が事業継続ができなくなり、倒産する
④高齢化に伴って自動車の運転も厳しくなり、徒歩で買い物に行くことになる
⑤徒歩500m圏内(足腰が弱った高齢者が移動できる目安)に小売店が存在せず、遠方まで徒歩移動することになる。①~⑤を買い物難民と呼ぶ
⑥高齢者が外出する切っ掛けの大半が「買い物」であり、一度買い物難民化すると外出頻度時代が減り、社会的関係資本(人と人との繋がり)が低下して、社会から孤立化する
⑥満足な栄養を摂取する頻度が減り、健康寿命が低下する
⑦健康寿命が低下した高齢者を支える為に介護離職、人手不足が深刻化し、社会保障費 が増大する
健康寿命を長くするという観点で重要なのは、栄養・運動・人との交流の3つですが、高齢者の外出目的の9割は、買い物と通院というのが実態です。
2.フード・デザート問題は都心部こそ深刻
都心部は地方・郊外の世帯より核家族化によるコミュニティの小ささ、晩婚化によるお一人世帯の増加により、フードデザート問題は身の周りに存在します
下記マップはフードデザート化に直結する買い物難民の深刻度を表すMAPであり、赤くなればなるほど食料品へのアクセスが悪いエリアを表しております。
出典元:農林水産省 食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト
日本全国で見ると山間部を中心にフードデザート化を示す赤色エリアが多いですが、注目すべきは右下に添付した東京都のマップです。赤いエリアが多数・広域に渡って存在してることが分かります。
都心部は地方都市と違って人口密度が高く、近隣住民との繋がりが希薄な為、買い物難民化(徒歩500m圏内に小売店がない)するだけでフードデザート化しやすいのです。さらに車の保有者を少ないことから、遠隔地にある小売店へのアクセスも困難になる傾向が大きいのもあります。
都心部在住の人からすると『その為のコンビニ』で対応しようと考えるのですが、昨今のセブンイレブンを発端とした長時間労働と人手不足によって、コンビニの廃業を耳にする頻度が増えました。ちなみにコンビニに限らず、大手小売店の撤退・廃業も多くなってる印象です。
超高齢化問題に伴う生産年齢人口(15~64歳)の減少はこれから加速度的に増えていくので、身の回りで人手不足による倒産も増加し、ますます買い物難民が増えていくと思われます。
そもそも住居徒歩圏内に商業施設が乏しいベッドタウンほど、フード・デザート問題は深刻になるでしょう。
3.じゃぁ、車やバイク運転すればいいやん
それが中々、そうはいきません。
車を運転するのに必要な身体能力は20代と60代で比較をすると、自分達が思っている以上に低下していきます。一声、筋力と反射神経は30%程低下するのです。
出典:中央労働災害防止協会資料より
最近は高齢ドライバーに運転事故がクローズアップされますし、そもそも都心部では車やバイクを保有していない世帯も多いでしょう。
免許証の自己返納の議論・義務化の話もでていますが、それだとフード・デザート問題はますます深刻化していくのです。持ち家派のリスクは下記の通りですが、これらは自力で何とか解決することは可能です
①転勤リスク ⇒ 売却・単身赴任
②災害リスク ⇒ 火災保険等
③近隣住民にDQNがいるリスク ⇒ 話し合い、法的措置
④子供が虐めに合うリスク ⇒ 話し合い、法的措置
⑤離婚した際の財産分与⇒ 話し合い、法的解決
しかし小売店を誘致したり身体機能の劣化を完全に防ぐのは自助努力だけでは限界があります。ここが、フード・デザート問題の深刻な理由なのです。
4.フードデザート問題への対応・取り組み
自治体や企業も、フードデザート問題を放置しているわけではありません。
移動販売や共同乗り合いサービスなど、実施可能な手法でフードデザート問題を解決しようとしております。
出典元:農林水産省 食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト
ただし、現在の上記対応方法に対する最大の課題は、採算性がとれないので持続可能な対応方法ではないという現実です。ほとんどの事業が税金を投入している状態です。
自動車の自動運転化がすすめば少しはどうにかなる気がしますが、自動運転の技術が確立しても下記問題が残ります
・法整備がどこまで追従するのか?
・自動車がまともに進入できない住宅密集地はどうするのか?
乗り合いサービスの自動かもタクシー業界等の既得権益があるでしょうから、はたしてどこまで自動運転のサービスが普及するのか怪しいところです。
日本人はこれから直面する超高齢化社会&人口減少に対して、危機感があまりにも薄いですよね。その危機感の無さが、フード・デザート問題への対応遅れに繋がるのです。
もうドローンで宅配してもらうしかないんでしょうか?それもまた安全観点での法的問題が山積しているように感じます。やはり打つ手がありません。
1番ターゲットになるのは現在30~40代の人達です。超高齢化と人手不足はこれからますます問題になるのと同時に、親世代は介護が必要となる後期高齢者に突入するからです。
フードデ・ザート問題に興味がある人は、下記シンポジウムの資料を参照下さい都心部&郊外在住の人ほど、他人事とは思えなくなります
http://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/150430_report.pdf
5.じゃぁ、私ならどうするか?
・現役引退するまで家は買わない。安い賃貸物件で質素に生活する。
・現役引退までに資産形成をしっかり行う
・終の棲家は富山県等のコンパクトシティが進んでいる地方都市部が候補
・住いは集合住宅なら1階、一戸建てなら平屋。それも中古。
・物流が容易な比較的大きな道路沿線に住む
※バスや物流トラックが通れるサイズ
・家族、親族との付き合いを大事にする
・仕事以外のコミュニティを大事にする
・農業するのは有りかな
・若いうちから、足腰鍛え続ける
・牛肉はしっかり食べ続ける
こんなもんです。
人口減少問題って調べれば調べるほど、この国の未来は真っ暗ですね。
なんせあと20年もすれば、身の回りの人は半数が65歳以上になっています。
AIや技術革新で!って言う人もいますが、それって何時までに完成して普及するのか?この国が大問題になるまでに、普及するのか?モビリティメーカーには、自動運転含めて頑張ってほしい限りです。
しかしどれだけ素晴らしい技術も必要な時に使えないとなんら意味がありませんので、不確実な未来に縋るより、自分で対応できる方法を選択するのがベターでしょう。
資産形成でどれだけ成功しても、買い物もいけない。人との交流も無い。そんな人生の最後は、まっぴらゴメンです。岡本和久さんが言われている
『幸せもち』になりたいですね。
最後に。
住んでいる場所は、フードデザート化に耐えれますか?
足腰が弱ると、500m歩くのが精一杯になることを忘れてはいけません。
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