こんばんわ。
先日ツイッターで積み立て投資の末期(資産取り崩し時)に暴落がきたらどうする?
って話が出ていました。
資産取り崩しに関しては誰もがいつかは考えないといけないのですが、何故か皆さん
こういうのです。
「最後に暴落きたら嫌だよね~」
・・・。
この考えは特にインデックス投資家に多い気がするのですが、けっこー都合の良い
話だと思ってしまいます。
なぜなら積立て中の相場下落時は安く買えるから喜ぶのに、自分が解約する時は
高値圏であってほしいという、相反する要望です。
リスク資産の取り崩し段階はいわゆる「出口戦略」といわれており、書籍で知識を
得るなら、下記の2冊がお勧めです。
では今回、上記書籍から得た知識を基に何パターンかの資産取り崩し方法を用いて、
積上げた投資の資産がどのように減っていくのか?利益はどのようになっていくのか?
を、検証したいと思います。
1.資産取り崩し方法
様々な書籍・メディアで紹介される資産取り崩し方法は、大きく分けて3つぐらいだと
思います。
①初期資産評価額に対して、固定比率での定額取り崩し方法
②変動する資産評価額に対して、固定比率での定率取り崩し方法
③保有口数に対して、固定比率での取り崩し方法
アメリカでは3%で運用しながら4%で取り崩すのがひとつの手法として認知されて
いるので、今回の検証では年間4%での取り崩しでシミュレーションしてみたいと
思います。
2.シミュレーション条件
・取り崩し期間:35年(定年を65歳とし、100歳まで生存)
・運用資産名:野村DC外国株式インデックスF・MSCI
・運用資産額:3000万円
※資産形成期間:年間利回り4%と仮定し、毎月3.333万円×35年間
⇒元本: 約1400万円 利益: 約1600万円
・取り崩し方法:上記①~③の3パターン
・年間取り崩し割合: 4% ※毎月換算の場合 約0.333%
それでは、野村DC外国株式インデックスF・MSCI運用開始から今日までの、
月末基準価額のチャートが下記のようになります
野村DC外国株式インデックスF・MSCIでも運用期間が11年しかありませんので、
同じチャートを3回連結して合計35年間分にしたのが下記になります
なかなか強烈なチャートが出来上がりましたが、当たり前の問題発生。
単純に連結しただけだと基準価額が35年間も最高値を更新できず、しかも基準価額
最高値から最安値までの下落が80%近くとなるので、補正が必要です。
そこでチャート2LAP目・3LAP目・4LAP目は基準価額の底上げを実施し、長期的な
少々右肩上がりチャートを作成してみたいと思います。
基準価額への補正を掛けました。内容は、1LAP目に対して
2LAP目:+4000円
3LAP目:+10000円
4LAP目:16000円
そこそこ右肩上がりな計上で資産取り崩し直後2年目に暴落があり、且つ、2LAP目
以降も基準価額最高値から最安値までの下落率は-50%ぐらいなので、
シミュレーションに使えそうなチャートになったかと。
あくまでも「使えそうなチャート」になっただけで仮想のチャートであることは
注意が必要です。
3.取り崩しシミュレーション開始
①初期資産評価額に対して、固定比率での定額取り崩し方法
初期の資産総額は3000万円ありますので、これを年間4%=120万円=月間10万円で
取り崩すと、結果は下記のようになります
初期資産評価額4%で定額(毎月10万円)取り崩しを行うと、27年目に資産が
枯渇しました。
<定額取り崩し方法の考察>
取り崩し方としては簡単ですが、良い方法ではないですね。
リスク資産を野村DC外国株式インデックスF・MSCIで障害寿命まで資産を維持する
には、資産額を1.29倍(3900万円)にするか、取り崩し額を毎月8.5万円(初期資産
評価額に対して3.4%)にする必要があります
②変動する資産評価額に対して、固定比率での定率取り崩し方法
毎年減少&変動する残資産評価額に対して、年間4%の定率で取り崩しを行うと
下記のようになります ※毎月0.333%での取り崩し
結果、資産としては35年間で枯渇することなく、約612万円に残ります。
しかしこれにてハッピーでもなく、毎年減少&変動する残資産評価額に対して、
4%定率で取り崩しを行う場合、解約金があまり安定しません
定率4%取り崩しは初期に毎月10万円近い金額が手元に入るものの、23年目以降は
取り崩せる金額がいっきに減ってしまいます。
<変動する資産評価額に対して定率取り崩し方法の考察>
これが教科書的な取り崩し方法かと思ってましたが、医療費が嵩む人生の後半戦で
取り崩せる金額が減るのは致命的ですね
③保有口数に対して、固定比率での取り崩し方法
最後に、基準価額=資産評価額の変動に関係なく、投資信託の保有口数を毎年4%で
解約(毎月0.333%)していった場合の、資産評価額と保有口数のチャートは、
下記の様になります
結果35年で資産が枯渇することはなく、しかも資産は1500万円ほど残っております。
しかも解約金額の推移を見ても、ボラリティが高い株式100%にも関わらず
解約金額はかなり安定しております
これは驚きですね。
平均して毎月6.8万円の解約金額を得ることができました
<保有口数の定比率での取り崩し方法の考察>
私の認識をはるかに超えて、優秀な取り崩し方法でした
4.シミュレーション全体を通しての結論
結論から言うと、資産取り崩し段階で株式100%のボラリティ(変動度合い)は
大きすぎて、取り崩す解約金が安定しません。やはり教科書通り株式の割合を減らし、
債券の割合を増やしてリスク資産全体のボラリティを下げるのが無難でしょう。
とりあえず今回の検証条件では「保有口数に対して固定比率での取り崩し」が
1番安定しており、積立て末期に暴落が2~3回発生しようが、世界経済が緩やかに
上昇してくれる限り、35年間を毎月平均6.8万円近い資産を取り崩せて且つ、
1500万円近い余力を残せます。
※あくまでも、仮想世界のチャートですが。
当然ながら資産に占める割合でリスク資産が100%ってことはないと思いますので、
今回の検証はリスク資産の取り崩し方法の一例と理解してくださいね。
無リスク資産と合わせた取り崩し方は、冒頭で紹介したカン・チュンドさんの書籍を
参照ください。
気が向いたら、債券の割合が多い.verもやってみたいと思います。
皆様の資産形成末期の参考になれば幸いです。
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