会社の同僚から、面白そうな本を借りました。
荻原博子さんはTVにも出演している経済ジャーナリストなので
ご存知の方も多いと思います。
個人的に「見た目」「しゃべり方」「考え方」が好きではないのですが、
先入観は持たず、頭真っ白にして読んでみました。
感想は大きく分けて5つ。
<良い点>
金融リテラシーが低い日本人にとって大事な、合法的詐欺商品の情報が得られる
<悪い点>
・お金のことを考えようとしない日本人を、よりお金に対して思考停止にしてしまう
・この著者がそもそも、投資に対する知識がなさ過ぎる
(風にしてるのかは知りませんが)
・前半と後半で、話が矛盾している
・荻原博子はパチンコ&競馬が好きな、ただのギャンブラー
真実+真実が嘘になる
この本のは、銀行・保険屋・郵便局が勧めてくる合法的詐欺商品を
滅多切りに解説してくれています。
1.外貨建て生命保険
2.銀行の窓口で依頼する外貨預金
3.毎月分配型投資信託
4.個人年金
詳しくは本を読んでもらえると分かりますが、上記1~4に関して要約すると
・金融機関が勧めてくる商品に関わるな
・表面的な利回りは事実だが、バカ高い手数料を引くとプラスにならない
→顧客が欲しい商品(儲けたい)と、金融機関が売りたい商品(手数料稼げる)は
相反するので、基本的に金融機関に関わるなってことです。
荻原さんは、金融機関は嘘は言っていないが真実+真実が嘘になると表現しています。
代表的なのでいうと
・銀行預金は利息がつかない(真実)
・外貨で預金すると、海外銀行の金利は1%で利回りが良い(真実)
しかし外貨建て生命保険や外貨預金は、毎月の支払(預金)は円をドルに
換えているので、ネットバンクを除くと1ドルに対して1円の手数料が取られています。
そして保険(預金)を受け取ると時もドル→円へ換金するのに1ドル1円の手数料が
とられてしまい、運用利回りに対して手数料負けするので、利益が本当に出るのか?
と言われると、それは嘘になるという事を丁寧に計算して説明してくれています。
しかしこの「真実+真実が嘘になる」は後々、荻原さん本人にブーメランのように
返って行く事に・・・
毎月分配型投資信託に関しては、ちょっと見解が分かれます
<共感できるところ>
1つ目
金融機関は消費者に毎月でる分配金をお小遣いみたいなニュアンスで勧めれるので、
手軽に買付け手数料が稼ぎやすいから勧めてくる。
よって、買う側(投資家)は運用リスクを負うくせに、売り側(金融機関)は
リスクなしに手数料収入が得られます。
2つ目
分配型投資信託は手数料が高すぎる
<共感できないところ>
毎月分配型投資信託は再投資ができないから効率が悪い
→証券会社のシステムで、受け取った分配金を「再投資する」って設定を
しておけば、普通に再投資が可能となります。
勝ちも負けもしないしないでいる間も、金融機関に手数料だけは
払い続けなければならない
あたかも、全ての投資信託が成長するみこみもない表現を使ってるのは
いかがなもんかと。
不動産投資の利回り計算などは知識がないのであまりよく分かりませんが、
国際分散インデックス投資をしている側からすると、決して正しい表現とは
思えません。
長期的に成長が見込める&手数料の安いインデックス投資信託を選べば
良いはずですが、そのようにフォローする表現はどこにもありませんでした。
真実+真実が嘘なのは、荻原氏自身
全体の半分を過ぎたあたりから投資をギャンブルと位置付けて、やけに強引に
投資から遠ざけようとしていきます。
ここから先はかなりネタバレになりますので、自分で内容をしりたい人は
下記より購入して、この記事からはドロンしてください
荻原さん自身は40年近く投資をしてきた結果、得られたのは投資こそ
ギャンブル(投機)であり、人に勧めるものではないと言われています。
しかし、投資と投機は、意味が全く違います
投資:成長にお金を投じること
投機:確率にお金を投じること
ここより下は、荻原さんの主張に対して誰からも求められていませんが、
国際分散インデックス投資家として反論していこうと思います。
ドルコスト平均法は愚の骨頂
荻原氏主張 その①
金融機関は、ドルコスト平均法は買付け単価を下げるための手法と
宣伝しているが、それは間違いである。
投資は安いときに買って高い時に売るから儲かるのであって、
手数料まで払って高かろうが安かろうが決まった日に買ってると、
儲からない
金融機関が「投資するタイミングの難しさ」を緩和するために、
ドルコスト平均法(積立投資)を推奨してくるのは事実であり、
買付け単価を下げる手法の1つであることも真実です。
しかしドルコスト平均法(積立投資)の本質的な価値は、そこではありません。
ドルコスト平均法(積立投資)は、決まった日に○○○円を買い続けると決めたことが
相場の上下に関係なく景気状況に左右されることもなく、自分の意志とは無関係に
相場へ残り続ける為の精神安定システムです。
荻原氏は安い時に買って高い時に売れって言ってますが、相場のいつが安くていつが
高いかなんて、プロでも正確に分かりません。
トランプさんが大統領になると言われる前、世界中のアナリストは株価が低迷すると
言われていましたが、蓋を開けた1年後の今、世界中が株高フィーバーです。
荻原氏の主張通りに投資をするとしたら、昨年末に株を売り払っていたのでしょうが
それは結果的に正しくなく、そのまま保有していた or 毎月定額で買い付けていた
人が、着実にリターンを得れていたことになります。
荻原氏自身の投資に関する誤った知識・相場観がないせいで、本人は40年間も
損をしていただけだと分かりましたね。
ドルコスト平均法の本質的価値は相場を予測する難しさがあるからこそ、
リスク市場に長くいる為に、投資機会を分散するのです。
その結果で買付け金額が下がったりするのであって、買付け金額を下げることが
目的ではありません。
追加で荻原氏に反論するなら、買付け手数料が無料の投資信託を選べば、
買付け回数が何回増えようが問題ではありません。
投資信託で長期投資はありえない
荻原氏主張 その②
投資信託は保有するだけで手数料をとられるから、長期投資はありえない
自分が優良だとおもった株式を安い時期に買って長期保有し、
高い時に売ればいい
「ありえない」って言い切れるのが凄いですね。
投資信託は保有するだけで信託報酬という年間手数料が発生するのは真実ですが、
信託報酬(手数料)は0.2~2.0%と多種多様ですので、信託報酬が安い投資信託を
選ぶことから始めれば良いはずです。
そして過去100年以上を振り返っても世界経済は確実に右肩上がりに年率4~5%で
成長していますので、世界中の株式に分散できる&信託報酬の安い投資信託を選べば
問題ありません。
世界中の株式に分散投資信託が可能な楽天・全世界株式インデックスや
野村つみたて外国株投信は信託報酬が0.2%台であり、
期待リターンは6%です。
そこから信託報酬0.2%を差し引くと年間期待リターンは5.8%になりますので、
長期投資は十分に成立します。
そして荻原さんは、自分が優良だとおもった株式を安い時期に買って長期保有し、
高い時に売ればいいと主張しているのですが、その投資感で40年近く投資をしてきた
結果、得られたのは投資こそギャンブル(投機)であり、人に勧めるものではない
と言っているのですから、何が言いたいのか本当に意味不明です。
最後にP206~P207に記載されている文章をまんまコピーします
実は、かの有名な投資の神様ウォーレン・バフェットも、
「非常に低コストのS&P500インデックスファンドに投資したら、
同時期に投資を始める人の90%よりもうまくやれます」と、
バークシャー・ハサウェイ(世界最大の持ち株会社)の2004年の年次総会でいっています。
この場合の買い方は、10年以上にわたって下がったら買う、
また下がったら買うというナンピン買いを続けていくことによって
金融商品のコストを下げるという方法です。
ウォーレン・バフェットのこの発言は全て事実であり真実ですが、
別に安い時に買うナンピン買いをする必要はありません。
荻原氏の文章で出てきたS&P500の37年間推移を見ると分かりますが、
2002年、2009年の経済危機でこそ減少していますが、今日に至るまで
常に上昇しています。
2004年から2017年にかけては2倍以上に成長していますので、低コストな
S&P500指数に連動するインデックスファンドを積立投資をしていれば、
何ら苦労することなくリターンにあやかることが出来ていました。
確かにウォーレン・バフェットが言うように下がったら買う、下がった買うという
ナンピン買いをするのが最大リターンを得れる手法ですが、市場の全員が
悲観的になるから暴落が起こるのであって、その時に投資初心者が積極的に
買いにいけるとは思えません。
もう1度言いますが、市場の人間全員が「この世の終わりだ」と思うから、
暴落は起きるのです。
ウォーレン・バフェットが下がった時にでも買いにいけるのは、彼自身の経験・
知識・相場観・莫大な現金預金があるからであり、投資経験ゼロの人が
真似できないようなことを荻原氏は投資初心者に推奨しているのです。
ここまでの反論を全て振り返っていえることは、荻原博子はパチンコや競馬が好きな
ギャンブラーと同じだということです。
<まとめ>
書いてあることは、ある角度から見れば嘘を言っていませんが、
別の角度から見ると、正しい真実も隠しています。
この世のあらゆる事柄はメリットとデメリットがありますので、自分にとって
何が良いのかを考え続ける必要があり、それをしないとお金も時間も搾取されます。
よって、この本の内容を単純に受け止めてしまうと、お金に関して何も考えない
思考停止人間を量産するだけです。
荻原さんは、無知な人を脅して金儲けしたかったようにしか思えませんね。
そして何気に「ちょい投資」なんて矛盾きわまりない本も出してることを
追加して、終わりたいと思います