日銀の異次元金融緩和のおかげで普通預金金利は限りなくゼロに近いですが、
それはローンに対する金利も同じです。
金利が安いから住宅ローンが組みやすく、私の周りでもマイホームをGetしている人が
多数います。
そんな中、全額フルローンで住宅ローン減税利用すれば、めっちゃ儲かるで~って
考えてる人が多数いるのですが、それって本当?って思い、
ざっくり計算ではありますが検証してみたいと思います
1.住宅ローン減税の仕組み
住宅ローン減税とは簡単に言うと、毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から
控除してくれる制度で、年間最大控除額は400万円(住宅ローン4000万円)に
なります。
年度を追う毎に支払残高が減るから毎年控除してもらえる額は減りますが、
4000万円フルローンに於ける10年間の住宅ローン控除総額は、ざっくり計算で
377万円にもなります!!
実際に会社で住宅ローン減税で儲けようとしている人はだいたい、10年間減税で
儲けてからの繰上げ返済でローン完済をもくろんでます。
となると、既にそれななりの頭金を手持ち資金として保有してるはずですので、
それらも鑑みてシミュレーションしてみたいと思います。
2.4000万円フルローンA家庭のシミュレーション
4000万円フルローンを0.5%で借りたとすると総支払額は4361万円で、
毎月の支払は10.38万円になります。
※変動金利が今後変動しないのを大前提としてます
支払元本:4000万円
総支払額:4361万円(変動0.5%)
毎月の支払(利息込み):10.38万円
ローンなしの場合毎月支払い:9.5万円
毎月の利息支払:0.86万円
手持ち資金:1500万円
※計算にあたってはイーローンさんのweb使用
この先の比較計算を公平化するために、A家庭は収入の残り全額を住宅ローンの
支払10.38万円に当てているとします。 ※要は貯金ができない
そうすると、住宅ローン減税で控除される金額に対して、ローンの利息を引いたのが
下のグラフになります
2017年12月に入居をすると、支払ゼロにも関わらず住宅ローン減税1回目が
受けれますので、2017年度の減税額は40万円。
それを1年目とみなしていいのか分からないので、2017年度は無視した残り
10年分の住宅ローン減税に対する、支払った利息分を引いたのが赤線の
グラフです。
住宅ローン減税が適用される10年目での、住宅ローン減税からローンの
利息を引いた実質リターンは273万円になりますので、ローン利息で
既に100万円近く損をしていることになります。
手持ち資金1500万で一括返済をする予定ですので、それが可能になるのは
2040年(12年後)なのでさらにローンの利息を123万円払う事になり、
実質リターンは140万円に目減りします。
ん~本当に4000万円の家が必要なのかは別として、そこまでお金を払っても
たった140万円しか残らないのって微妙です。
※熊本は土地が安いので、4000万円あればけっこーな豪邸がたちます。
A家庭が住宅ローン支払後に国際分散投資の有用性に気付き、毎月の
余剰資金となる10.38万円を全て国際分散インデックス投資にまわしたとします。
35年フルローンしていた場合の残り年月13年間を、年率3%(控えめ)に運用したら
利益は357万円になります
ここに、住宅ローン減税で得た140万円のリターンをプラスすると、
A家庭が35年間で得たリターンは合計497万円になりますね。
3.A家庭に対し1500万円を頭金にして、35年ローンにした場合
私はローン反対派です。
なぜなら、投資で得れる利益は元本が多ければ多いほど大きいのですが、
ローンの場合はまさにその逆で、支払元本が多いほど支払う利息が大きくなります。
A家庭に対してB家庭は収入が同じであり且つ、手持ち1500万円を頭金にして、
残り2500万円を同条件で35年フルローン(年利0.5%)にした場合が、
下記になります
支払元本:2500万円
総支払額:2725万円(変動0.5%)
毎月の支払(利息込み):6.48万円 ※利息合計225万円
ローンなしの場合毎月支払い:5.95万円
手取り残(10.3万円)に対する余裕:3.9万円
B家庭は35年という長期の支払をしますが、住宅ローン減税に対する利息分の
支払残は10万円がプラスで残ることになります。
しかしB家庭はA家庭に対して支出が毎月3.9万円余裕がありますので、
これを35年間国際分散インデックス投資にまわしていた場合のリターンが
下記になります
投資元本1638万円に対して、1237万円+10万円もリターンが出ています。
複利効果なめんなよ!って感じですね。
つまり、1500万円を頭金に入れたB家庭は、支払う元本総額は同じであっても、
A家庭に対して740万円リターンが高いことになります。
ここでB家庭のローンを固定金利で1.0%であったとしても、利息支払額が
倍(+225万円)になるだけなので、それでもA家庭よりリターンが高くなります。
<結論>
現金預金しか頭にないのなら、住宅ローン減税で「ちょっと」儲けることは可能。
大前提として今の極端に金利が低い状態で且つ、変動金利の数字が変わらない
住宅ローン減税が非常に有利な条件で検証した結果です。
資産形成を目的にするのなら、支払額を減らして国際分散インデックス投資を
している方が、効率が良いってのが分かりましたね。
<結論に対する結論>
不動産は投資目的でない限り、借金(レバレッジ)は効率が悪いということです。